ヤマトホールディングス(9064)と日本航空(JAL/JL、9201)、JALグループのLCC、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)は8月1日、羽田空港へエアバスA321ceo P2F型貨物機を就航させた。宅急便の荷物を運ぶほか、北海道や九州で前日集荷した生鮮品を最短で昼前には首都圏の店舗に届けられるという。
ヤマトHDは、成田空港を拠点にA321P2Fの運航を4月11日に開始。JALグループが整備などを担い、1日で就航10周年を迎えたスプリング・ジャパンが運航する。羽田路線は札幌(新千歳)と北九州の2路線で、貨物専用便を深夜早朝帯に1日1往復ずつ運航する。羽田就航で、5空港へ1日13便運航する。
羽田-札幌線の運航スケジュールは、羽田行きIJ410便が札幌を午前1時20分に出発し、午前3時着。札幌行きIJ411便は午前4時15分に羽田を出発して、午前5時55分に到着する。
北九州線は、羽田行きIJ444便が北九州を午前1時40分に出発し、午前3時15分着。北九州行きIJ445便は午前4時55分に羽田を出発して、午前6時40分に到着する。
1日の羽田到着初便は、札幌発のIJ410便(A321P2F、登録記号JA82YA)が午前3時5分に、北九州発のIJ444便(A321P2F、JA83YA)は午前3時14分に到着した。積荷は宅急便のほか、前日に集荷して1日昼前ごろまでに首都圏の飲食店へ運ぶ生鮮品などだった。
ヤマト運輸でA321P2Fによる貨物機事業を担当する貨物航空輸送オペレーション設計部長の鈴木達也氏は、羽田で札幌と北九州から来る便が接続することから、「北海道と九州、九州と北海道を羽田経由で結ぶ、これまであまり見えていなかった需要があった」と、宅急便の荷物を運ぶだけでなく、生鮮品や機械類といった需要を挙げた。また、旅客機の床下貨物室には積めない大型貨物も受注できるようになり、ヤマトHDによると半導体関連製品の輸送などの引き合いがあるという。
A321P2Fは、中古のA321ceo(従来型A321)旅客機を貨物専用機に改修したもので、10トン車約5-6台分に相当する1機当たり28トンの貨物を搭載でき、東京を起点にすると台湾や香港まで飛行できるという。ヤマトHDは3機リース導入し、改修作業はエアバスとSTエンジニアリング(シンガポール)の合弁会社、独エルベ・フルクツォイヴェルケ(EFW)社がシンガポールで行った。
羽田に初めて姿を現したのは、2023年12月12日の訓練飛行だった(関連記事)。
*写真は15枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。
運航スケジュール
羽田-札幌線
IJ410 札幌(01:20)→羽田(03:00)
IJ411 羽田(04:15)→札幌(05:55)
羽田-北九州線
IJ444 北九州(01:40)→羽田(03:15)
IJ445 羽田(04:55)→北九州(06:40)
関連リンク
ヤマトホールディングス
日本航空
スプリング・ジャパン
羽田初飛来
・ヤマトのクロネコ貨物機、羽田から成田へ 訓練初日(23年12月12日)
・ヤマトのA321貨物機、羽田に初飛来 来夏就航(23年12月12日)
運輸審議会の答申
・ヤマトのA321クロネコ貨物機、羽田8/1就航 スプリング・ジャパン運航を国交省許可(24年6月22日)
クロネコ貨物機
・ヤマトとJALのクロネコ貨物機、3号機成田到着へ A321P2F、夏には羽田就航も(24年4月18日)
・ヤマトHD、“クロネコ貨物機”増機検討 A321P2F、需要見極め新就航地も(24年4月11日)
・ヤマトとJAL、クロネコ貨物機A321P2F就航 長距離トラック補完(24年4月11日)
ヤマトとJALの貨物事業
・ヤマトとJALのクロネコ貨物機A321P2F、成田でお披露目 4/11就航へ(23年11月20日)
・JALはなぜ”禁じ手”貨物機を解禁するのか 特集・ヤマトと組むコロナ後の貨物戦略(23年5月4日)
・JALとヤマトのA321貨物機、なぜスプリング・ジャパンが飛ばすのか(22年11月22日)