エアライン — 2024年7月23日 18:16 JST

豪ヴァージン、羽田-ケアンズ25年2月運休 日本人客回復遅れ「商業成り立たたず」

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 ヴァージン・オーストラリア(VOZ/VA)は現地時間7月22日、1日1往復(週7往復)で運航中のケアンズ-羽田線を2025年2月24日から運休すると発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の日本人客の回復が遅れていることによるもので、同日以降の予約客には払い戻しで対応する。最終運航は前日の23日で、2023年6月28日の就航以来1年8カ月での撤退となる。

羽田-ケアンズ線を運休するヴァージン・オーストラリア=24年3月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 同路線は同社は羽田撤退について、日本からの渡豪客が予想を大幅に下回っていることから、「撤退は厳しい決断だが、東京への自社便の運航はもはや商業的に成り立たない」と説明。一方で全日本空輸(ANA/NH)との提携は継続し「ANAとの強力なパートナーシップで観光をサポートしていく」とした。

 運休日以降の予約客は2000人程度で、メールで連絡し、払い戻しの手続きを進める。

 豪ヴァージンは当初、2020年夏ダイヤでの羽田空港の昼間時間帯増枠で割り当てられた1枠分を活用し、ブリスベン-羽田線を同年3月に開設する予定だった。その後、新型コロナの流行に加え、同年4月に新型コロナの影響により日本の民事再生手続に当たる「任意管理」に入り、事実上の経営破たん状態となったことから就航を延期。当時保有していた777-300ERとエアバスA330-200型機の長距離機材を退役させ737の単一機種に統一したことから、日本就航が一旦は頓挫した。

 その後、米投資会社のベイン・キャピタルへ売却し、2020年11月に新しい経営陣を迎えて経営再建が終了。豪国内線に注力していたが、航続距離が6570キロの737 MAX 8を新導入し、国際線へ再参入した。

 同社は現在、737 MAX 8を7機保有しており、8月には1機追加を予定する。羽田撤退後は737 MAX 8を既存の豪国内線に投入する。

 豪州統計局によると、日本人の年間渡豪客はコロナ前の2019年が52万人。2023年は33万人で、コロナ前と比較すると40%近く減少した。また、2019年末は1豪ドル76円台だったが、羽田撤退を発表した7月22日時点では104円台となり、大幅な円安が進んでいる。

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