エアライン, ボーイング, 機体, 空港 — 2024年7月19日 11:40 JST

ANA、羽田-ミラノ12月就航 ストックホルム・イスタンブールは年明け、欧州路線拡大

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 全日本空輸(ANA/NH)は7月19日、羽田-ミラノ・ストックホルム・イスタンブールの欧州3路線を順次開設すると発表した。ミラノ線は12月3日、ストックホルム線は年明けの2025年1月31日、イスタンブール線は同年2月12日に就航し、いずれも週3往復ずつ運航する。いずれも新型コロナなどにより就航を延期しており、計画から約5年で出そろう。

羽田発の欧州3路線の就航日を発表するANAの井上社長(右)=24年7月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
787で週3往復ずつ
SASスタアラ脱退「影響ないようにする」
20年夏ダイヤ開設からずれ込み

787で週3往復ずつ

 12月3日に開設するミラノ線は火曜と木曜、日曜の週3往復で、羽田を深夜帯に出発する。運航スケジュールは、ミラノ行きNH207便が羽田を午前1時5分に出発し、午前8時30分着。羽田行きNH208便は午前10時30分にミラノを出発し、翌日午前7時30分に到着する。機材はボーイング787-9型機の3クラス215席仕様(ビジネスクラス48席、プレミアムエコノミー21席、エコノミークラス146席)を投入する。

 1月31日に就航するストックホルム線も羽田発を深夜帯に設定し、火曜と金曜、日曜に運航する。運航スケジュールは、ストックホルム行きNH221便は羽田を午前0時30分に出発し、午前6時20分着。羽田行きNH222便は午前9時35分にストックホルムを出発し、翌日午前7時20分に到着する。機材は787-8の3クラス184席仕様(ビジネス32席、プレミアムエコノミー14席、エコノミー138席)を投入する。

 2月12日に開設するイスタンブール線は、3路線で唯一、羽田を昼間帯に出発する。月曜と水曜、土曜の週3往復で、運航スケジュールはイスタンブール行きNH219便が羽田を午前8時15分に出発し、午後3時55分着。羽田行きNH220便は午後6時10分にイスタンブールを出発し、翌日午前11時20分に到着する。機材はストックホルム線同様、787-8の3クラス184席仕様を投入する。

 このほか7月1日からは羽田-パリ線と羽田-ミュンヘン線を週7往復(1日1往復)に増便。8月1日からは羽田-ウィーン線を再開するなど、欧州路線の強化を図る。今回の新規3路線開設後、ANAの欧州就航都市は9都市に拡大し、週49便(往復)運航する。

欧州の路線網を説明するANAの井上社長=24年7月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

SASスタアラ脱退「影響ないようにする」

 東京・汐留の本社で会見したANAの井上慎一社長は、各路線で想定する需要を説明。ミラノ線は海外旅行に関心ある人をターゲットとし、レジャー(観光)需要のほかビジネス需要も取り込むという。

 ストックホルム線は、日欧間の接続需要を7割想定。イスタンブール線は、イスタンブール行きのほか、中東・アフリカへの乗り継ぎ需要を見込むと説明した。

スカンジナビア航空のA350-900=24年3月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 一方、ストックホルムを拠点とするスカンジナビア航空(SAS/SK)は、現在加盟するANAと同じ航空連合「スターアライアンス」を現地時間8月31日付で脱退。9月1日からは航空連合「スカイチーム」に移籍し、ANA就航時には異なるアライアンスに属することになる。井上社長は乗り継ぎについて「影響がないようにする」とし、今後はANAとSASの2社間で協議していくという。

20年夏ダイヤ開設からずれ込み

 3路線はいずれも、羽田空港の国際線発着枠が増枠となった2020年夏ダイヤでの就航を計画していた。3路線とも夏ダイヤ期初の同年3月29日には就航せず、ミラノ線は4月20日、ストックホルム線は6月6日、イスタンブール線は7月6日と段階的な開設を予定していた。

 就航が夏ダイヤ期初からずれ込むことについて、ANAの平子裕志社長(当時)は2019年12月の会見で、787に搭載する英ロールス・ロイス(RR)製エンジンの改修による、パイロット移行訓練計画に差異が生じたためだと説明。「路線を一気に立ちあげるには、現地の準備を整える必要がある。パイロットの路線訓練なども、一気にかかってくる」と述べ、同時に就航するのではなく、時間差を設けて運航を開始する意向を示していた(関連記事)。

 その後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大したことで国際線が運休となり、開設予定だった新路線も就航を延期。今年1月23日に発表した今年度の事業計画で3路線を下期中に開設すると示していた(関連記事)。

 井上社長はコロナ前に就航を予定していた3路線について、乗員稼働が延期理由だったと説明。現在の欧州路線はロシア領空を迂回(うかい)し、飛行時間が長くかかることから「多くのリソース(人員)が必要。準備に時間がかかった」とした。計画から約5年で出そろうことから、「ついにここまで来た。感無量」と述べ、就航への喜びをあらわにした。

運航スケジュール
羽田-ミラノ
NH207 羽田(01:05)→ミラノ(08:30)運航日:12/3以降の火木日
NH208 ミラノ(10:30)→羽田(翌日07:30)運航日:12/3以降の火木日

羽田-ストックホルム
NH221 羽田(00:30)→ストックホルム(06:20)運航日:1/31以降の火金日
NH222 ストックホルム(09:35)→羽田(翌日07:20)運航日:1/31以降の火金日

羽田-イスタンブール
NH219 羽田(08:15)→イスタンブール(15:55)運航日:2/12以降の月水土
NH220 イスタンブール(18:10)→羽田(翌日11:20)運航日:2/12以降の月水土

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