エアライン, ボーイング, 機体 — 2024年7月17日 11:20 JST

777Xや737-10試験機出展見送り、ボーイング、ファンボロー航空ショーも防衛中心

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 ボーイングは、ロンドン近郊で現地時間7月22日から開かれるファンボロー航空ショーに、開発中の大型機777Xや、小型機737 MAXのうち胴体長が最長の737-10(737 MAX 10)の飛行試験機は持ち込まず、F-15QA戦闘機など防衛部門を中心とした展示になることを正式発表した。民間機の実機はカタール航空(QTR/QR)の787-9にとどまる。

2022年のファンボロー航空ショーで飛行展示を終えて着陸し翼端を折りたたんだ777-9=22年7月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回出展するのは、X-66サステイナブル・フライト・デモンストレーターなど環境負荷軽減につながる技術実証分野と、F-15戦闘機の発展型である最新複座戦闘機F-15EX「イーグルII」にもっとも近い仕様のカタール空軍が運用するF-15QAなど防衛分野で、民間航空機は貨物機のポートフォリオや、777Xの客室モックアップなどにとどまる。

 カタール航空の787-9は地上展示のみ。飛行展示はF-15QAのみにとどまるとみられ、2種類の異なる構成で実施するという。

2022年のファンボロー航空ショーで飛行展示を披露する737-10=22年7月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボーイングは、737 MAXや787の度重なる品質問題に対し、FAA(米国連邦航空局)などから抜本的な対応を迫られている。今年2月に開かれた、ファンボローと同じく偶数年開催のシンガポール航空ショーも、民間機の試験機出展は見送り、防衛部門中心としていた。今回の出展内容は、6月下旬に米国で開いた在米メディア向け説明会で示していた(関連記事)。

 ファンボロー航空ショーは、奇数年6月開催のパリ航空ショーに次ぐ世界規模の航空見本市で、偶数年7月開催。新型コロナの影響で2020年はオンライン開催、前回2022年はコロナ後初の現地開催となったものの、例年と比べて現地出展する企業が少ない印象だった。防衛と民間航空機をはじめ、近年は日本で「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)関連の出展が目立つ。

 2022年のファンボローでは、ボーイングは2機種の飛行試験機を出展。777Xの旅客型777-9と海外初公開となった737-10で、2機種とも飛行展示で戦闘機のような「ハイレートクライム」などを披露し、777-9は目玉の新機能である翼端を地上で折りたたむ機能もアピールしていた。主翼が777よりも長くなったことから採用されたもので、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにした。

 昨年2023年に開かれたパリ航空ショーでも、777-9と737-10が飛行展示を披露していた。



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Farnborough International Airshow
Boeing
ボーイング・ジャパン

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