日本航空(JAL/JL、9201)とENEOSは、代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」の売買契約を締結したと7月12日に発表した。ENEOSは国内石油元売としてSAFを初輸入し、JALへ供給する。両社は国内でのSAF早期普及を目指し、航空業界の脱炭素化を共同で進める。
航空業界では、国際線のCO2(二酸化炭素)排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を掲げ、今年以降の排出量を2019年比で15%削減を目指している。JALは現在の中期経営計画で、SAFの利用目標を2025年度に全燃料搭載量の1%、2030年度に10%としている。航空業界の脱炭素化への加速には国産SAFの普及促進が重要なことから、JALとENEOSは今回の契約に合意した。
またJALは全日本空輸(ANA/NH)らと、SAFの国産化を目指す有志団体「ACT FOR SKY(アクトフォースカイ)」を2022年3月2日に設立。ENEOSも参画し、国産SAFに直接関与し、供給網構築の主体となる「ACT Member」に名を連ねている。
IATA(国際航空運送協会)が発表したSAF年間生産量予測によると、今年は前年の3倍にあたる19億リットル(150万トン)に達する。一方、全世界が今年必要とする年間航空燃料需要の0.53%にとどまっており、2050年までのCO2排出実質ゼロを実現するためには、各国の政府がSAF普及に向けた政策を講じる必要性があると訴えている(関連記事)。
IATAの予測
・IATA、24年のSAF生産3倍150万トン 増産へ解決策提案(24年6月3日)
国産SAF
・小池都知事「食用油で飛行機飛ぶ事知って」国産SAF実現へ廃油回収(24年3月24日)
・廃食用油から国産SAF、JAL・ANAら29者参画 日揮が“全員参加”Fry to Flyプロジェクト(23年4月18日)
・スシローの廃食用油で国産SAF 日揮ら4社が基本合意(23年4月6日)
・ANAやJALら、国産SAF実用化へ「ACT FOR SKY」設立 代替燃料で脱炭素社会へ(22年3月2日)
赤坂社長(当時)に聞くSAF
・航空業界の2050年脱炭素化「全然厳しい」特集・JAL赤坂社長に聞くコロナ後の成長戦略(3)(23年6月17日)
JALとANA
・JALと横浜市、SAF用廃食油の回収本格化 スーパーにボックス常設(24年5月31日)
・ANA、羽田-八丈島線でSAF利用 都が助成、5カ月間継続使用(23年12月25日)
・ANAとJAL、代替燃料「SAF」普及へ共同レポート策定 2050年CO2排出実質ゼロへ(21年10月8日)