エアライン, 空港, 解説・コラム — 2024年7月12日 23:30 JST

高松空港・小幡社長「旅客数だけがNo.1の指標じゃない」特集・三菱地所と空港民営化(2)

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 現在の新空港が12月で開港35周年を迎える高松空港。1958年6月に供用を開始した旧空港は滑走路が1200メートルと短く、市街地に隣接していることから、1989年12月16日に新空港が開港し、滑走路長は2500メートルに延びた。2018年4月1日には、国管理空港では2番目に民営化され、三菱地所(8802)などが設立したSPC(特別目的会社)の高松空港会社が運営している。

高松空港会社の小幡社長。「四国瀬戸内NO.1の国際空港」を目指す上で旅客数だけが指標ではないと話す=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 早朝の滑走路を歩く「ランウェイウォーク」を8月4日に開催し、8月29日から9月2日にかけては、同じく三菱地所が出資する北海道7空港を運営する北海道エアポートと連携し、高松-札幌(新千歳)間のチャーター便をフジドリームエアラインズ(FDA/JH)と飛ばすなど、新たな需要を掘り起こす高松空港会社。長期ビジョンは「アジア・世界とつながる、四国瀬戸内NO.1の国際空港」で、コロナ前の旅客数を上回る見込みの2025年度は、瀬戸内国際芸術祭や大阪・関西万博など、大型イベントが相次いで開かれる。

 今年は瀬戸内海が国立公園に指定されて90周年。コロナ後の旅客需要が回復基調となり、インバウンド需要も旺盛な中、四国の玄関口となる高松空港はどう動いていくのか。「四国瀬戸内NO.1」の空港を目指す上で、旅客数だけが指標ではない、と力説する高松空港会社の小幡義樹社長に聞いた。

—記事の概要—
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旅客数だけがNo.1の指標じゃない

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 四国の玄関口と言える高松は、瀬戸大橋が1988年に全線開通する前、岡山県からの宇高連絡船が着く高松駅が各地への起点として機能していた。2019年6月に高松空港会社の社長に就任した小幡氏は「連絡船時代の鉄道網が残っているのはありがたい」と話す。

高松空港に到着するJALの737-800=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 海外からの訪日客が、かつての団体客中心から個人旅行へシフトしていく中、高松空港へ就航する海外の航空会社や旅行会社の幹部から、小幡氏は口々にこう言われたという。

 「高松空港はバスで高松駅に出ればどこでも行ける、と同じ時期におっしゃっていただいた。なんとなく感じていたことだったが、確信に変わった。高松駅に出れば四国だけでなく岡山にも、大阪にも、九州にも行ける」と、高松空港の地の利の良さを強調する。

 「2023年5月の5類移行後、ソウルや台北の便が飛び始めたが、ここまで順調に復便するとは思っていなかった」と話す小幡氏は、これまでの国際線就航を振り返ると、ある法則性があるのではないか、と指摘する。

 「過去に就航した国際線を調べてみると、ソウル線は1990年代からあり、上海線は2011年に就航した。2010年の中国からの訪日客は140万人台だったと思うが、その翌年に上海から高松への直行便が就航したことになる。その後、台北や香港から定期便が就航するが、何か偶然の一致なのか、法則性があるのかはわからないが、定期便が高松へ就航した前年の我が国への訪日客数は、やはり140万人から150万人だった」と、日本全体の訪日客数がこのレベルに達すると、地方空港への直行便が就航し始める、という仮説だ。

 中国や韓国、台湾、香港といった東アジアの地域はもともと日本との往来も多く、高松空港へ降り立つ訪日客数も急回復している。「そういう意味では、東南アジアはタイが2019年に


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