三菱重工業(7011)は7月4日、傘下でジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」を開発していたMSJ資産管理(旧三菱航空機)が同日付で東京地方裁判所に特別清算開始を申立てたと発表した。三菱重工グループの業績への影響はない見通し。
三菱重工は、MSJの開発中止を2023年2月7日に正式発表。同年4月25日に三菱航空機の社名を「MSJ資産管理株式会社」に変更したと発表した。また今年3月31日付で、MSJ資産管理を解散する決議を機関決定。3月31日現在の負債総額は約6413億円で、代表清算人は同社の桝谷啓介社長が、申立代理人は西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(東京・大手町)の弁護士、横山兼太郎氏、藤浩太郎氏、乘田明彦氏、井ノ上奈莉子氏が務める。
今回の特別清算開始の申立てについて、三菱重工は「残務処理を実施していたが、一定のめどが立った」と説明している。
一方、経済産業省は今年3月に、次世代の国産旅客機構想を示している。2035年以降をめどに、次世代の国産旅客機開発を官民で進めるもので、MSJが開発中止となったことから、1社の単独事業ではなく複数社の参画による開発を促し、経産省が研究費などの面で幅広く支援し、MSJ失敗の反省点を生かすとしている(関連記事)。
次世代国産機構想
・経産省の次世代国産機構想、三菱重工泉澤社長「次期戦闘機でリソースがタイト」(24年5月8日)
・経産省、国産旅客機2035年以降実現へ戦略案 スペースジェット反省生かせるか(24年3月29日)
スペースジェット
・三菱重工「MSJ資産管理」解散 米試験機4機は解体済み(24年4月2日)
・【独自】スペースジェット、開発中止決定 次期戦闘機に知見生かす(23年2月6日)