エアライン, 空港 — 2024年7月4日 13:24 JST

ANA、空港酷暑対策でファン付きベスト導入 グラハン・整備士1万人着用

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 全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは7月4日、国内約50空港のグランドハンドリング(グラハン、地上作業)スタッフと整備士にファン付きベストを導入したと発表した。夏場の酷暑対策のひとつで、一度の充電で風量がもっとも多いモードで約5時間使えるという。

羽田空港でファン付きベストを着用して貨物コンテナの搭載作業にあたるANAエアポートサービスの加藤潤一さん(手前)と進元明日生さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ファン付きベストの導入対象は、ANAグループが就航する国内約50空港で、対象人数はグラハンスタッフが約7000人、整備士が約3600人。昨年夏に整備士の酷暑対策として会社が導入し、共用で使っていたところ効果があったため、今年6月24日から整備士への個人貸与が始まり、7月1日からはグラハン部門にも導入された。

 グラハン部門では、機体の牽引や誘導、貨物・手荷物の搭降載・搬送など「ランプハンドリング」と呼ばれる業務のうち、機体の近くで作業する人を中心に導入した。既存の安全ベストと同様に視認性が高いもので、職種ごとにオレンジ、黄色とオレンジのツートン、黄色の3種類を用意した。

 オレンジは整備士と「ヘッドセットオペレーター」と呼ばれるグラハンスタッフが着用。黄色とオレンジのツートンはグラハンの責任者、黄色はグラハンの一般スタッフが着用する。また、ANAのコーポレートカラーであるトリトンブルーとモヒカンブルーもアクセントとして配した。

羽田空港でファン付きベストを着用して787-9の前脚を点検するANAラインメンテナンステクニクスの整備士小川隼平さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAラインメンテナンステクニクスの整備士小川隼平さんが着用するファン付きベスト=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ファン付きベストはミドリ安全(渋谷区)製で、ANAオリジナル仕様。ランプパス(身分証)をしまう左胸部分は透明なウレタンシートで、パスが見えるようになっており、裾(すそ)を調節できるようにして冷却効果を得られるようにした。また、社員からの要望で前側にポケットを2つ用意した。

 ファンの風量は3段階で、「Low」が毎分2.3立方メートル(毎秒約38リットル)、「Middle」が2.7立方メートル(同45リットル)、「Hi」が3.8立方メートル(同63リットル)で、作動時間はLowで約15.5時間、Middleで約10時間、Hiで約5時間。ANAによると、スポット(駐機場)周辺での作業は約2時間程度で、水分補給や休憩などを挟んでいるという。

 4日に羽田空港で着用してランプハンドリング作業を行ったANAエアポートサービスの加藤潤一さんは「着た瞬間から涼しく、ベストを脱いだ時に暑さを感じたのでそれだけ涼しい」、進元明日生(しんげん・あすな)さんは「風が強くて快適」と話していた。

 ANAによると、ファン付きベストは基本的に個人貸与となるが、部署や空港によっては使用頻度などで共用になるケースもあるという。

 また、ANAは夏季用制服として初めてポロシャツを導入。20年ぶりの新制服で、シャツの裾を外に出す「タックアウト」した状態で着用できるようにした。加藤さんは「従来は高所作業でシャツが出てしまったが、裾を外に出せるので作業しやすい」と話していた。

*写真は16枚。

羽田空港でファン付きベストを着用して写真撮影に応じる(左から)ANAエアポートサービスの進元明日生さんと加藤潤一さん、ANAラインメンテナンステクニクスの小川隼平さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのポロシャツ新制服を着用したグラハンスタッフ=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で作業する(左から)従来の安全ベスト、ヘッドセットオペレーター用オレンジのファン付きベスト、責任者用ツートンのファン付きベスト、黄色のファン付きベストを着用したANAのグラハンスタッフ=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して貨物コンテナの搭載作業にあたるANAエアポートサービスの進元明日生さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して貨物コンテナの搭載作業にあたるANAエアポートサービスの加藤潤一さん(右)=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して貨物コンテナの搭載作業にあたるANAエアポートサービスの加藤潤一さん(手前)と進元明日生さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して貨物コンテナの搭載作業にあたるANAエアポートサービスのグラハンスタッフ=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して787-9の前脚を点検するANAラインメンテナンステクニクスの整備士小川隼平さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して787-9のエンジンGEnxを点検するANAラインメンテナンステクニクスの整備士小川隼平さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストの取材に応じる(左から)ANAエアポートサービスの進元明日生さんと加藤潤一さん、ANAラインメンテナンステクニクスの小川隼平さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でファン付きベストを着用して写真撮影に応じる(左から)ANAエアポートサービスの進元明日生さんと加藤潤一さん、ANAラインメンテナンステクニクスの小川隼平さん=24年7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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