エアライン, 官公庁 — 2024年7月4日 11:50 JST

ルフトハンザのITA買収、欧州委が条件付き承認 発着枠の一部譲渡など

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 EC(欧州委員会)は現地時間7月3日、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザ・グループがイタリア経済財政省(MEF)と進めている伊国営航空会社ITAエアウェイズ(ITY/AZ)の買収について、条件付きで承認すると発表した。ITAが拠点とするミラノ・リナーテ空港の一部発着枠を競合他社に譲渡することなどが条件で、ルフトハンザが進めるITA株の41%取得は今年10-12月期(第4四半期)に完了する見通し。

ルフトハンザ(中央)のITA買収をEUが条件付きで承認=23年10月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ルフトハンザとITAの両社について、ECは「中欧とイタリアの異なるハブ空港から運航していることから、かなりの程度補完関係にある」と指摘。買収の条件として、イタリアと中欧を結ぶ短距離路線を、競合する航空会社1-2社へ移管することを求めた。イタリア側はローマのフィウミチーノ空港かミラノ・リナーテ空港が対象で、このうちリナーテ空港は一部の離着陸枠を競合他社に譲渡することが条件となる。

 ルフトハンザ・グループは2023年5月に、ITA株の41%取得でMEFと合意。ルフトハンザは3億2500万ユーロ(約565億7000万円)を増資し41%を取得する。またルフトハンザとMEFは残りの株式を取得できるオプションでも合意しており、早ければ2025年から行使できる。

 ルフトハンザ・グループのカルステン・シュポアCEO(最高経営責任者)は「ITAの買収により、グループの国際化を強化する」とし、EUの条件付き承認を歓迎するコメントを発表した。

 ITAは経営破綻したアリタリア-イタリア航空(AZA/AZ)に代わる航空会社で、イタリアの経済開発省が100%出資し2020年11月に設立。2021年10月15日に就航した。ルフトハンザとITAは加盟する航空連合(アライアンス)が異なり、ルフトハンザは「スターアライアンス」、ITAはエールフランス航空(AFR/AF)などが加盟する「スカイチーム」に属する。ルフトハンザによると、ITAは近い将来、スターアライアンスへの移籍を目指しているという。

関連リンク
European Commission
Ministero dell’Economia e delle Finanze
Lufthansa Group
ITAエアウェイズ

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