和歌山県みなべ町上空で6月22日午前10時30分ごろ、全日本空輸(ANA/NH)の長崎発中部行きNH372便(ボーイング737-800型機、登録記号JA88AN、2クラス166席)で客室の気圧が低下するトラブルが発生し、警報が作動した。乗客7人と客室乗務員4人の計11人が耳の違和感や倦怠(けんたい)感を訴えた。国土交通省航空局(JCAB)は26日、航空法で定める「重大インシデント」に認定した。ANA便の重大インシデント認定は、4月に米子空港沖で起きた低高度飛行に続き今年2件目となった。
NH372便は、乗客98人(幼児なし)と乗員6人(パイロット2人、客室乗務員4人)の計104人を乗せ、長崎を午前9時36分(定刻同35分)に出発。中部には定刻より10分遅れの午前11時に到着した。グループのANAウイングス(AKX/EH)による運航便だった。
ANAによると、長崎空港を出発後、高度3万1000フィート(約9400メートル)上空を巡航中、与圧システムの不具合を示す注意灯が数回点灯したため、降下を始めた。その後消灯したが、2万7000フィート付近を降下中に再度点灯し、午前10時30分ごろに2万5000フィート付近で気圧低下を示す警報が作動。客室内の酸素マスクを手動で展開し、管制官に緊急事態を宣言したが、1万フィートまで降下した時点で客室の気圧が安定したため、宣言を取り下げて中部へ通常通り着陸した。
体調不良を訴えた乗客のうち、6人は医療機関の受診を辞退。この6人とは別に、後日1人の乗客から耳に違和感があるとの連絡があったという。客室乗務員は乗務していた4人全員が倦怠感などがあると申告し、医師の診察を受けたが、健康に異常がないことが確認されたという。気圧低下の詳しい原因は調査を続けている。
ANA便では、4月7日に羽田発米子行きNH389便(737-800、JA69AN、ANAウイングス運航)が着陸のため進入態勢に入っていた際、機体が低高度になりGPWS(対地接近警報装置)が作動。重大インシデントに認定された。航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、空港西側に位置する湖「中海」上空を高度125フィート(約38.1メートル)付近で飛行していたとみられる(関連記事)。
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