エアライン, 企業, 解説・コラム — 2024年6月15日 21:28 JST

JAL植木前会長、東映の社外取締役に 父・片岡千恵蔵氏も取締役経験

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 日本航空(JAL/JL、9201)が6月18日に開催予定の定時株主総会で取締役を退任する植木義晴前会長が、東映(9605)の社外取締役(非常勤)に就任する。27日開催の株主総会と取締役会で正式に決定する見通し。父の俳優・片岡千恵蔵氏も東映の取締役を務めた。

トゥールーズでA350初号機に搭乗する際、鶴丸ロゴを手に搭乗橋から手を振るJALの植木会長(当時)=19年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 東映は、植木氏を社外取締役の候補者とした理由を「グローバルに展開する企業グループのトップとして企業経営をけん引してきた経験があり、豊富な経験、知識を活かした様々な助言をいただくこと、経営に一層の緊張感がもたらされることなどを期待している」と説明している。

 植木氏は1975年6月にJALへ入社。1994年4月にDC10運航乗員部機長、2004年4月に運航企画室企画部副部長 兼 運航企画室業務部副部長、2005年4月に運航本部副本部長 兼 運航企画室企画部長、2007年4月に運航乗員訓練企画部長、2008年6月にジェイエア(JAR/XM)へ代表取締役副社長として出向、経営破綻後の2010年2月にJALへ戻り執行役員運航本部長、同年12月に専務執行役員路線統括本部長と歴任した。機長としてはダグラスDC-10型機、ボーイング747-400型機、ボンバルディアCRJ200型機の操縦桿を握ってきた。

中期経営計画を説明するJALの植木社長(当時)=12年2月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALの社長には2012年2月に就任。2018年4月に会長に退き、2020年4月から今年3月31日までは代表権のない会長、4月から株主総会までは取締役を務めている。破綻後のJALでは、2012年9月19日の東証への再上場、2013年10月7日のエアバスA350 XWB発注などを主導し、パイロットの訓練制度改革なども推進した。

 また、2013年1月にボーイング787型機でバッテリートラブルが起きた際には、787の運航停止を決断。全日本空輸(ANA/NH)の787もバッテリーのトラブルが起き、両社の787による定期便の運航停止は約4カ月半に及んだ。

 2013年当時、日本の航空会社が大型機を発注するとなると、ボーイングなど米国製と相場が決まっていた中、欧州のエアバスが製造するA350選定は、航空業界内でも衝撃が走った。「実際に触れて、さわってみて、匂いまで嗅いでこれだな、と確信を持って選定した」(植木氏)と自信を示していた。

A350の購入同意書を掲げるJALの植木社長(右)とエアバスのブレジエ社長(ともに当時)=13年10月7日 PHOTO: Haruyoshi YAMAGUCHI/Aviation Wire

 JALのA350発注は、標準型のA350-900が18機、長胴型のA350-1000が13機の計31機が確定発注で、契約にはオプション(仮発注)の25機も含まれている。現在は国内線用のA350-900を16機(うち13号機は1月の羽田事故で全損)、長距離国際線用のA350-1000を3機受領済み。今年3月にはA350-900を21機発注したと発表した。このうち1機は全損となった13号機の代替で2025年度下期、残り20機は国際線機材として2027年度から受領する。

 エアバスのA350-1000試験機が2018年2月に初飛来した際は「飛行機はお高いもので、分厚い契約書があり、トータルの金額を見て手が震えたのを覚えている」と、契約を結んだ際の心境を明かした。

 10年前の2014年に開かれた、国内外から集まったJALのグランドスタッフが接客スキルを競う「第3回空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」では、英語が苦手ながらも懸命に外国人客の接客審査に挑んだ、地方空港の係員2人に社長賞を贈った。「2人は決して成績が良かったわけではないけれど、接客を受けた外国人(教官)は、もう一度会ってみたいと感じていた。心を伝えられる人の価値は、必ずあると思う」と話していた。

 2010年1月の経営破綻については「つぶれた会社ではなく、俺たちがつぶした会社」が持論。新しいJALのあり方を追求していた。

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