航空業界を目指す大学生が立ち上げた学生団体「SKY AVIATION(スカイアビエーション)」が、成田空港を利用する若者を増やす取り組みをテーマにしたビジネスコンテストを、空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の本社で開いた。本選には4チームが出場し、学生向け旅行積立制度「NARI旅ユース」を提案したチームが最優秀賞を獲得した。
—記事の概要—
・学生に認知されていない成田・LCC
・航空業界と学生の架け橋に
学生に認知されていない成田・LCC
ビジネスコンテストを企画したSKYは、パイロットを目指す国際基督教大学(ICU)の長坂有途さん(大学3年)と逸見康太さん(2年)が中心となり、2023年6月に設立。現在の代表者は逸見さんと、今年3月にアドバイザーの立場に退いた長坂さんに代わり就任した實原みちるさんの2人が共同代表を務め、現在は他大学も含め116人が参加している。長坂さんによると、日本全国どこにいる学生も同じように航空業界を目指せるよう、情報格差のない環境を作りたいという。
6月9日に開かれたビジネスコンテストでは、成田空港の若者による利用を増やすために、空港やLCC(低コスト航空会社)が新たに出来る取り組みを募った。最優秀賞を獲得したのは、東京都立大学3年の坂本悠悟さんら4人のグループ。学生にLCCの存在が十分認知されていないことや、大学生でも利用しやすい旅行積立制度がないことなどを課題として取り上げ、学生向け旅行積立制度のNARI旅ユースや、航空券への交換や成田空港周辺地域で利用できるポイント制度「Knot(ノット)」を提案した。
SKYの存在をInstagramで知ったという坂本さんは「学生向けなので、複雑な制度では毛嫌いされてしまうので簡素化しました」と、積立やポイントの制度を考える中でシンプルさを重視した。
出場チームのメンバーはSKY側が組み、初めて会う学生同士が意見を出し合える場を作るようにしたという。提案に対する評価基準は「収益性」「革新性」「実現性」「その主体がやる意義」とした。
本選出場グループの提案からは、大人たちが思っている以上に成田空港やLCCの存在が学生たちに十分浸透しておらず、今後のテコ入れで成長余地があることが示された。コロナで政府が行動制限を実施するなど、学生が旅行する機会が3年ほど失われていたことも認知度低下につながっているようだった。
最優秀チームには、NAAの役員や社員向けのプレゼンテーションを行う機会が設けられる。
航空業界と学生の架け橋に
今回のビジネスコンテストは、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)の前CEO(最高経営責任者)で、現在はANA総合研究所の副社長を務める森健明氏が、いくつかの大学でLCCについて講演した際、聴講したSKYの学生から相談を受けたことがきっかけで開催につながった。森氏がNAAにSKYの学生を紹介し、学生たちからビジネスコンテストの企画を提案されたNAAが、会場提供などを引き受けた。
NAAから参加した審査員のひとり、マーケティング統括室の大杉圭室長は「マーケティングはどこの企業も考えているが、NAAがこの部署を立ち上げたのは3年前。どうやって認知度を上げるかに取り組んでおり、皆さんの提案も参考にさせていただきたい」と講評を述べた。
コンテストを終えたSKYは逸見さんは「成田空港が学生たちに意外と知られていないことがわかり、半年ほどかけてコンテストを準備しました」と、成田やLCCを使った旅行の楽しさを学生たちに知って欲しいと話す。今後の活動としては「航空業界と学生の架け橋になりたいです」と、これからも航空業界について「熱く語れるイベント」を開いていきたいという。
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