全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は6月10日、日本貨物航空(NCA/KZ)を子会社化する予定日を2025年3月31日に延期したと発表した。当初は2023年10月1日を予定しており、その後今年2月1日、4月1日、直近は7月1日と延期され、今回で4度目となった。日本と中国の関係当局による企業結合審査の完了までに要する時間などを勘案し、改めて延期したという。
今回のNCA完全子会社化により、ANAHDの2025年3月期第4四半期連結決算から貸借対照表と損益計算書を連結する予定。今年4月26日に開示した2025年3月期の連結業績予想には株式交換の影響は織り込んでおらず、2025年3月期以降の業績への影響は精査中だという。
ANAは、かつてNCAに27.59%出資していたが、2005年に全株式を日本郵船(9101)へ譲渡。欧米への貨物便を多く運航するNCAを傘下に収めることで、航空貨物事業を拡大する。
NCAの子会社化は簡易株式交換により実施し、株主総会の決議による承認を受けずに行う見通し。将来的にANAの貨物事業との統合・再編を目指す。
ANAグループの貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)は、貨物専用機を11機運航。内訳は大型貨物機のボーイング777Fが2機、中型貨物機の767Fが9機で、2028年以降に次世代大型機777Xの貨物型777-8Fを2機受領する見通し。
NCAは大型貨物機の747-8Fを8機運航中。過去に保有していた747-400Fは、他社へリースしている。また、NCAが自己株式として保有してた全部取得条項付種類株式の全7億9097万3000株は、2023年8月25日付で消却している。
延期
・ANA、NCA子会社化を7月に再々延期 業績影響は精査中(24年3月22日)
・ANA、NCA子会社化を再延期 4月予定(24年1月25日)
・ANA、NCA子会社化延期 24年2月予定(23年9月26日)
子会社化へ
・NCA、自己株式をすべて消却 ANAが10月子会社化(23年8月27日)
・ANA、NCAを10月子会社化 貨物事業を統合再編へ(23年7月10日)
・ANA、NCAを子会社化へ 欧米貨物便を強化(23年3月7日)
18年度からコードシェア
・ANAとNCAが業務提携 18年度からコードシェア(18年2月27日)
ANAの事業戦略
・ANA、787を2030年度100機超 非航空の収益力強化=新中期経営戦略(23年2月15日)
・ANA、777X貨物機と737MAX発注 片野坂HD会長「安全性保証されていると確信」(22年7月19日)
・ANA、成田に貨物便集約 アジア-欧米間の取込強化、収益向上へ(21年2月5日)
JALはヤマトと貨物事業や改修貨物機
・JAL、767貨物機で成田-大連 6/18就航、海外6都市目(24年6月7日)
・JAL 767貨物機、成田に到着 2/19就航、14年ぶり専用機(24年1月17日)
・ヤマトとJAL、クロネコ貨物機A321P2F就航 長距離トラック補完(24年4月11日)