日本航空(JAL/JL、9201)と日本製紙(3863)、東洋製罐グループホールディングス(5901)傘下の東罐興業(トーカン)の3社は5月30日、機内で使用済みの紙コップを回収し、新たな紙コップに再生する「水平リサイクル」を実現したと発表した。再生紙コップへの資源循環は国内初の取り組みで、環境月間にあたる6月に一部国内線で提供する。
再生紙コップは、機内で使用した紙コップを乗客から回収し、日本製紙グループの工場で再資源化。東罐興業が紙コップを製造する。提供路線は羽田を出発するJAL国内線で、6月1日から始める。在庫がなくなり次第終了し、おおむね10日間程度を見込む。紙コップは古紙パルプ配合率が25%で、3社によると再生紙特有の黒点が紙に混ざる場合があるものの、品質には問題ないという。
JALグループと日本製紙グループは、紙コップの分別回収とリサイクルを2022年12月に始めている。当初は羽田-那覇線のみが対象で、現在は同路線のほか、エアバスA350-900型機とボーイング767-300ER型機で運航する羽田発着の札幌(新千歳)、旭川、福岡、長崎、熊本、鹿児島の各路線へ拡大している。
回収した紙コップは、これまで段ボールなどの紙製品に再生していたが、機内での紙コップ分別回収の精度向上や、日本製紙富士工場(静岡・富士市)で食品・飲料用の紙容器専用リサイクル設備の稼働、東罐興業の製造技術進歩などにより、紙コップを水平リサイクルするスキームが確立。「紙コップto紙コップ」の水平リサイクルを実現した。
今回は期間限定で提供する。紙コップを分別回収する対象路線の拡大や、再生紙コップの提供路線拡大を検討することで継続的な取り組みとし、循環型社会を実現させたい考え。
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