エアライン, 空港, 解説・コラム — 2024年5月20日 09:25 JST

スカイマーク洞社長、神戸や福岡新路線に意欲 25年に発着枠増

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 スカイマーク(SKY/BC、9204)の洞駿(ほら・はやお)社長は、2025年に発着枠の拡大が予定されている神戸空港や、第2滑走路が供用開始となる福岡空港を起点とした新路線を開設する考えを示した。一方、羽田空港の国内線発着枠の回収再配分については、「利用者利便向上のために見直すもので、航空会社の経営が厳しいから見直すものではない」と見解を述べた。

スカイマークの洞社長=24年5月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
神戸・福岡の増枠活用
鈴与傘下FDA「営業上は競争相手」

神戸・福岡の増枠活用

 神戸空港は、2025年開催の大阪・関西万博に合わせて、同年3月30日開始の夏ダイヤから発着枠の増枠が予定されている。福岡空港は、建設中の第2滑走路が同年3月末に供用開始予定で、2空港とも2025年に発着枠が拡大する。

第2滑走路が25年3月末に供用開始となる福岡空港=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 洞社長は5月15日の決算会見で、「神戸、福岡を起点とする路線拡大は考えている」と述べ、ボーイング737 MAXの受領開始が2025年4-6月期(第1四半期)から7-9月期(第2四半期)以降に後ろ倒しとなるものの、「遅れる前提としても機材が増える」として、新路線開設に意欲を示した。

 一方、羽田については「枠がもし獲得できれば対応を考える」と述べるにとどめたものの、神戸や福岡を活用することで、地方間路線の拡大など自社ネットワークの全体最適化を目指す。

 17日に開かれた国の有識者会議、羽田発着枠配分基準検討小委員会(委員長:竹内健蔵東京女子大学教授)の第3回会合では、航空各社の取り組みを評価する期間を新型コロナが「5類」へ移行した2023年度から5年間とする国土交通省航空局(JCAB)の案に、各委員からおおむね肯定的な意見が示された。

25年に増枠される神戸空港=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 同委員会は、2025年以降の羽田国内線発着枠の配分に対する考え方を検討するもので、エア・ドゥ(ADO/HD)とソラシドエア(SNJ/6J)、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)の3社が、全日本空輸(ANA/NH)と実施しているコードシェアについても、今後の扱いについて議論の的になっている。3社がANAと同じ予約システムを導入していたり、ANAの管理職が3社に出向・転籍しているケースもみられる。

 一方、スカイマークは2015年に経営破綻した際、ANAの親会社であるANAホールディングス(ANAHD、9202)が出資した時に、ANAの予約システムを入れないことなどを条件に経営再建を進め、独立性を維持している。

 17日の委員会で、洞社長は「コードシェアで肩代わりをして、路線を撤退しているところもあり、分析をちゃんとやって欲しい。これは独禁法の問題でもある。独占・寡占の路線は必ず運賃が上がるのは明らか。極端に言うと我が社が入っているところは、幹線だろうが地方だろうが下がっている」と主張を述べた。委員会には航空各社のトップや経営陣がオブザーバーとして出席している。

鈴与傘下FDA「営業上は競争相手」

 また、鈴与(静岡市)系の投資ファンドが筆頭株主になったことで、鈴与傘下のフジドリームエアラインズ(FDA/JH)との協業については「神戸空港では松本-神戸線をFDA、スカイマークは神戸からいろいろな所へ路線を展開しているので、利便性向上ができないかと探っている」とした。

 一方で「営業上は競争相手というスタンス」だとして、「基本的には独自の立場で考えていかなければならない」との考えを示した。

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