日本航空(JAL/JL、9201)は、ボーイング787型機に乗務する客室乗務員の編成数を、7月1日から8人以上に変更することを決めた。現時点でも国土交通省の規程をクリアした人数となる7人が乗務しているが、今年1月2日に起きた羽田事故の緊急脱出に対するレビューを踏まえたもので、8カ所あるすべての非常口に客室乗務員を配置する。JALによると、今回の変更で同社の運航便は原則として全非常口に客室乗務員が配置されることになるという。
航空法では、商業運航便に乗務する客室乗務員の人数を具体的に定めていないが、国土交通省航空局(JCAB)の運航規程審査要領細則では、緊急時の業務分担を考慮して50席に1人以上としている。
JALが国内線で運航する787-8は、座席数が3クラス291席(E21仕様)。客室乗務員は標準編成で7人乗務しているが、非常口は片側4カ所ずつ計8カ所あり、現状では国交省の規程は満たしているものの、客室乗務員が配置されていない非常口があった。JALによると、客室乗務員の編成数は、安全やサービス、客室仕様や路線特性などを総合的に考慮して決めているという。
787のうち、国際線で運航している787-8や長胴型の787-9は、座席数が300席近い国内線仕様よりも少なく、787-8は2クラス186席または206席、787-9は3クラス195席または203席、239席で、非常口はいずれも国内線用の787-8と同じ8カ所。機内サービスが国内線よりも多岐にわたり、フライト時間が長い路線もあることなどから、客室乗務員が原則として8人以上乗務しており、JALによると787で客室乗務員が8人未満の編成となっているのは国内線だけだという。
今年3月末時点でJALが運航している787は、787-8が23機、787-9が22機の計45機で、このうち国内線仕様の787-8は4機。主に羽田発着の札幌(新千歳)、伊丹、福岡線などに投入している。
787以外の国内線機材では、大型機のエアバスA350-900型機は座席数が3クラス369席または391席で、客室乗務員は就航当初から8人以上乗務。非常口も8カ所であることから、すべての非常口に客室乗務員が配置されている。1月2日に羽田空港で事故が起きた札幌(新千歳)発羽田行きJL516便(A350-900、登録記号JA13XJ)には、9人の客室乗務員が乗務していた。
一方、小型機のボーイング737-800型機(2クラス165席)などでは、機体前後の左右に計4カ所ある「タイプA」と呼ばれる脱出用スライドが自動展開される非常口と、翼上席にある「タイプIII」と呼ばれる小型の非常口がある。航空局の規程では、165席の737-800の場合は必要な客室乗務員数が4人で、タイプAの非常口には客室乗務員がすべて配置されている。
JALよると、787の乗務を8人以上に変更することは、5月17日に客室乗務員に対して周知されたという。
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