スカイマーク(SKY/BC、9204)の次期社長に就任予定の本橋学専務(48)は、リスクに挑戦しつつも、レジリエンス(回復力)がある企業にしていきたいと抱負を語った。28年前の1996年に会社設立以来、いわゆる「プロパー」の人材が社長に就任するのは初めて。
—記事の概要—
・「リスクに挑戦する文化を」
・「新しい体制で新しいチャレンジを」
「リスクに挑戦する文化を」
本橋氏は1999年4月に日本興業銀行(現みずほ銀行)へ入行し、スカイマークには2005年4月に入社。2011年4月に経営企画室の課長、2012年6月に室長、2014年6月に経理部の部長に就任したが同年9月に退社し、翌10月から三井住友ファイナンス&リース(SMFL)へ転じた。スカイマークが2015年1月28日に経営破綻後、当時の井手隆司会長と有森正和社長から呼び戻される形で、2015年3月に執行役員として復帰し、同年9月から専務取締役執行役員、2019年11月に取締役専務執行役員に就任した。
本社で5月15日に開かれた決算会見に出席した本橋氏は「航空会社なので安全第一を維持堅持し、すべてのベースと考えていく」と述べた上で、「新機材を入れて、羽田や神戸、福岡といった主要空港でビジネスチャンスがあるので、我々にとって非常にチャレンジングだが陣頭指揮を執り、やり遂げたい」と抱負を語った。
「課題や困難も出てくるので、会社の文化・風土として回復力をつけていきたい。20(はたち)前後で入社した人が60まで働くとして、40年後、50年後を考えると世の中も変わっていく。リスクに挑戦する文化を育てていきたい」と述べた。「他社がやっているからではなく、他社がやっていないからこうしたい、という発想や提案がより多く出てくる社内風土にしていきたい。その文化醸成のためには、自分も変わっていく必要がある」と決意を新たにした。
「新しい体制で新しいチャレンジを」
会長に退く洞駿(ほら・はやお)社長(76)は、1971年に運輸省(現・国交省)に入省し、2001年7月から自動車交通局長、2002年8月から航空局長、2003年7月から国土交通審議官を歴任し、2005年8月に退官。2007年10月から全日本空輸(ANA/NH)の常勤顧問を務め、2008年4月に上席執行役員、2008年6月に常務取締役執行役員、2009年4月に専務取締役執行役員、2011年6月に代表取締役副社長執行役員、2014年4月にANAホールディングス(ANAHD、9202)の常勤顧問を務めた。スカイマークには2018年7月に非常勤顧問として就任し、2020年2月に日本政策投資銀行(DBJ)出身の市江正彦氏の後任として社長に就任した。
洞氏は「就航から26年の歴史を振り返ると、一つの区切りだと思う。1998年の就航から2015年の民事再生までが第1期で、第2期は民事再生から立ち直り、コロナを経験して元の健康な状態に回復し、同じタイミングで上場を果たした。昨年度までが第2期で、第3期はいよいよ今年から新たな成長のステージに入った。このタイミングで若返りを図り、プロパーの本橋さんが社長になり、新しい体制で新しいチャレンジをして欲しい」と、トップ若返りの狙いを説明した。
「かといって、経営陣全員が交代できるかというと、歴史も浅いので人も十分に育っていない。歳は食ってるけど経験ある強力なベテランを配置し、株主を含めて社長を支える」と述べ、自らは「“古狸”としてのノウハウを持っている。しっかり新しい体制が順調にスタートして、ある程度地盤が固められるよう、側面からお助けしたい」と語った。
新役員人事は、6月下旬に開催予定の株主総会と取締役会で決議し、正式決定する見通し。
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