エアライン, 需要, 需要予測 — 2024年5月13日 19:40 JST

夏ダイヤ国際線、提供座席コロナ前超えへ ソウル増、ホノルル減=ANA総研調べ

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANA総合研究所は、夏ダイヤ(3月31日から10月26日)期間中の日本着国際線の提供座席数をまとめた。期間中に計画する提供座席数は3898万席で、2023年夏ダイヤの実績比では43%増、コロナ前の2019年実績比では2.9%増となる見通し。航空会社別では全日本空輸(ANA/NH)が首位で334万席(構成比8.6%)、2位は日本航空(JAL/JL、9201)の294万席(7.6%)、3位はキャセイパシフィック航空(CPA/CX)の138万席(3.6%)となる。地域別ではソウルなどが大きく伸ばし、ホノルルはコロナ前を下回る見通し。

夏ダイヤの提供座席数がコロナ前を超える見通しの日本着の国際線(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 データ算出には、コンピューター予約システムに登録された4月10日時点の提供座席数を用いた。また航空業界では輸送力を示す単位として、座席数と距離を掛け合わせた座席キロ(ASK)を用いるが、ANA総研のリポートでは訪日客に対応する輸送力分析のため座席数を用いている。このほかFSC(フルサービス航空会社)とLCC(低コスト航空会社)の種別は、コンピューター予約システムの区分により振り分けた。

—記事の概要—
海外発地域別
国内就航地別
フルサービスとLCC別

海外発地域別

 海外発の地域別では、南北アメリカ大陸とハワイなどの「TC1」が416万席(19年同期比5.8%増)で構成比が10.7%、欧州や中東・アフリカなどの「TC2」は259万席(6.9%減)で構成比6.6%、アジア・オセアニアなどの「TC3」は3222万席(3.5%増)で構成比82.7%となる。米大陸方面やアジア・オセアニアはコロナ前を上回る一方、欧州方面はコロナ前を下回る。

 地域別でみると、23空港あるTC1のうち提供座席数が増加するのは14空港(65万5000席増)で、サンフランシスコ(13万1000席増)、ロサンゼルス(11万6000席増)、ニューヨーク(11万2000席増)の順で多い。減少するのは9空港(42万6000席減)で、ホノルル(20万2000席減)、コナ(6万3000席減)、ポートランド(4万2000席減)の順で減少する。

 25空港あるT2のうち提供座席数が増加するのは11空港(39万1000席増)で、イスタンブール(15万5000席増)、アブダビ(7万3000席増)、ドーハ(6万席増)の順で多い。減少するのは14空港(58万1000席減)で、モスクワ(12万3000席減)、ヘルシンキ(9万7000席減)、アムステルダム(8万5000席減)の順で減少する。

 96空港あるT3のうち提供座席数が増加するのは34空港(441万7000席増)で、ソウル(185万6000席増)、台北(84万9000席増)、上海(31万4000席増)の順で多い。減少するのは62空港(334万2000席減)で、バンコク(61万2000席減)、大邱(テグ、32万3000席減)、天津(18万6000席減)の順で減少する。

国内就航地別

夏ダイヤの日本着国際線の提供座席数(ANA総研の資料からAviation Wire作成)

 34空港ある日本国内の就航地別では、全体の77%を占める上位3空港のうち、成田が1190万席(19年同期比6.7%減)で最多で、関西が927万席(1.7%増)、羽田が898万席(41.8%増)と続く。3空港のうち成田はコロナ前を下回り、関空と羽田は上回る見通し。那覇や新千歳、中部、仙台など残り31空港は881万席で、コロナ前の8.7%減となる。

 上位3空港を路線別でみると、成田はソウル(71万4000席増)、台北(35万5000席増)、上海(15万4000席増)などでコロナ前超えとなり、バンコク(26万席減)、ホノルル(21万9000席減)、シカゴ(13万9000席減)などでコロナ前を下回る見込み。

 関空はソウル(63万9000席増)、台北(16万0000席増)、上海(11万5000席増)などでコロナ前超えとなり、ホノルル(12万5000席減)、天津(12万3000席減)、大連(13万9000席減)などでコロナ前を下回る見込み。

 羽田はロサンゼルス(23万1000席増)、ニューヨーク(22万席増)、ホノルル(20万2000席増)などでコロナ前超えとなり、ハノイ(5万席減)、ウィーン(3万6000席減)、バンコク(2万8000席減)などでコロナ前を下回る見込み。

フルサービスとLCC別

 フルサービス航空会社とLCC別では、フルサービスが66社2694万席となり、2019年同期比1.9%減で、コロナ前の水準をほぼ回復。LCCは33社1203万席で、コロナ前を15.7%上回る見通し。構成比率はフルサービスが69.1%、LCCが30.9%となり、コロナ前と比較するとフルサービスが3.4ポイント低下、LCCが3.4ポイント上昇する。

 路線別でみると、フルサービスはスターラックス航空(星宇航空、SJX/JX)やエバー航空(EVA/BR)など7社が運航する台北線、アシアナ航空(AAR/OZ)やエアージャパン(AJX/NQ)など7社のソウル線、ターキッシュエアラインズ(THY/TK)のイスタンブール線などで増加。一方、ANAやキャセイなど4社が運航する香港線、中国南方航空(CSN/CZ)や中国東方航空(CES/MU)、ANAなど4社の大連線、タイ国際航空(THA/TG)やANA、JALなど4社のバンコク線が減少となる。

 LCCでは、ジンエアー(JNA/LJ)やエアプサン(ABL/BX)、チェジュ航空(JJA/7C)など9社が運航するソウル線、香港エクスプレス航空(HKE/UO)とグレーターベイエアラインズ(HGB/HB)、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)の3社による香港線、エアアジア・フィリピン(APG/Z2)やセブパシフィック航空(CEB/5J)、ジェットスター・アジア航空(JSA/3K)など5社のマニラ線などで増加。タイ・ライオン・エア(TLM/SL)やタイ・エアアジアX(TAX/XJ)など5社のバンコク線、エアプサンやティーウェイ航空(TWB/TW)、チェジュ航空の大邱線が減少となる。

関連リンク
ANA総合研究所

中部空港、中国本土路線が復便傾向 国際線は週275往復に=夏ダイヤ計画(24年4月3日)
関空国際線、フルサービスが半数超え 中国路線も回復進む=24年夏ダイヤ計画(24年3月28日)


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