三菱重工業(7011)の泉澤清次社長は5月8日、経済産業省が今年3月に示した次世代の国産旅客機構想について、現時点で具体的な計画を持っていないとしつつ、同時期に日英伊3カ国による次期戦闘機の開発が進んでいるとして、「リソース的にはタイトだ」との見解を示した。
経産省は2035年以降をめどに、次世代の国産旅客機開発を官民で進める案を3月27日の産業構造審議会で示した。三菱重工によるリージョナルジェット機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」が2023年2月に開発中止となったことから、1社の単独事業ではなく複数社の参画による開発を促し、経産省が研究費などの面で幅広く支援し、MSJ失敗の反省点を生かすとしている。
泉澤社長は「大きな方針が出た段階で、具体的な計画を作る段階ではない」と述べ、現時点で具体的な計画を持っているわけではないと説明。一方、日英伊3カ国共同の次世代ステルス戦闘機プロジェクト「GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)」は、2035年までに開発・配備を目指す計画であることから「非常にリソース的にはタイトであることもよく考えながらやっていく」と語った。
MSJを開発していたMSJ資産管理(旧三菱航空機)は、今年3月31日付で解散。米国で試験を行っていた4機の飛行試験機は、社名変更を発表した昨年4月の時点ですべて解体済み。設計変更を反映した通算10号機(JA26MJ、10010)など、国内に現存する試験機もある。スペースジェットの開発で得た知見は、GCAPの開発に生かすとしている。
GCAPは、ベースとなる英国の第6世代戦闘機「テンペスト」が2018年から開発がスタート。英独伊西の欧州4カ国が共同開発した戦闘機「ユーロファイター」の後継機で、日本は航空自衛隊が運用しているF-2戦闘機の後継としてGCAPに参画している。
関連リンク
三菱重工
次世代国産機構想
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スペースジェット
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