全日本空輸(ANA/NH)などを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の芝田浩二社長は4月26日、対ドルの円相場で円安が続く現状について、自社の事業には短期的な影響は出ていないものの、海外旅行の心理的なハードルになっているとの見方を示した。
*24年3月期決算と業績予想はこちら。
26日のニューヨーク外国為替市場では、円相場は1ドル158円台まで下落。日銀の金融政策決定会合後、植田和男総裁は記者会見で物価への影響について「今のところ大きな影響を与えているということはない」との見方を示した。
昨年2023年4月26日の円相場は、1ドル133円台後半で推移。1年前と比べて25円安となる158円台は、1990年5月以来およそ34年ぶりの円安水準となっている。
芝田社長は「心地よい円の水準はいくらかと言われると、ずっと125円くらいが肌感覚でいいなと申している。アウトバウンド(日本人の出国)にもフィットするし、インバウンド(外国人の訪日)にも魅力ある水準だ」と語った。
「コロナ前はほぼ半分がアウトバウンドで、訪日は3割しかいなかった。あとは(アジアから日本経由の北米渡航など)3国間(流動)が13%。いまはアウトバウンドは37%しかない」(芝田社長)と述べ、日本人の出国と外国人の訪日、3国間流動を組み合わせたレベニューマネジメントを行っていると説明した。
「円安だから直接インパクトがある、という思いではないが、アウトバウンドにとっては不利だと思う。しかも海外はものすごい物価高だ。心理的にネガティブなインパクトは大きい」(同)と、日本人が海外旅行に出掛ける上で、円安が海外の物価高と並び心理的な障壁になっているとの見方を示した。
一方で、芝田社長は「外貨収入が随分もたらされるような事業構造になっている」として、海外発の発券などドル建ての売上が堅調であることから、ドル払いの費用を一定程度はまかなえているという。
円安が続く現状について、芝田社長は「短期的には影響ないが、長期的には徐々に徐々に効いてくる」との考えを述べ、「もう少し円が高い方が国民全体にはハッピーではないか」と語った。
関連リンク
全日本空輸
・ANA、25年3月期最終益30%減1100億円予想 減免・補助金減、整備増が影響(24年4月27日)
・コロナ5類後初のGW予約、ハワイ・アジア好調続く(24年4月19日)