フジドリームエアラインズ(FDA/JH)は3月9日、緑色の4号機(エンブラエル170〈E170〉型機、登録記号JA04FJ)を退役させた。同社初の退役機で、FDAでの約13年に幕を閉じた。最終便が到着した県営名古屋空港(小牧)では、同社の楠瀬俊一社長らが横断幕で4号機を出迎えた。展望デッキには、別れを惜しむ多くのファンが詰めかけた。
—記事の概要—
・最終日は6便
・13年間で3万時間超
最終日は6便
最終日は4号機を計6便に投入。福岡を定刻午前8時35分に出発する松本行きJH200便と、松本発神戸行きJH233便、神戸発青森行きJH833便、青森発小牧行きJH364便で、午後4時過ぎに拠点の小牧へ戻った。最後の1往復2便は、小牧発出雲行きJH417便へ投入し、折り返しの出雲発小牧行きJH418便が最終便となった。
最終便のJH418便は77人(幼児1人含む)が搭乗し、パイロットは平山威信機長(46)と江畑豊副操縦士(47)、客室乗務員は安江絵美さん(42)と荒川まり恵さん(40)の計4人で運航した。同便は出雲を午後6時44分に出発。小牧には午後7時41分に到着した。平山機長は機内アナウンスで、JH418便が4号機の投入最終便と紹介しており、最終便が小牧に着陸すると、機内は拍手に包まれた。
4号機到着後、小牧の駐機場ではFDAの楠瀬社長らが横断幕を掲げて出迎えた。楠瀬社長は「大きなトラブルもなく運航を続けてくれた」と述べ、FDAでの13年間をねぎらった。楠瀬社長ら社員らは機体にメッセージを書き込み、退役を惜しみつつ感謝を伝えていた。
小牧のターミナルビル3階にある展望デッキは通常、午後6時45分までの開放だが、ターミナルビルを運営する名古屋空港ビルディングは4号機の到着に合わせ、午後8時ごろまで延長した。
運航を終えた4号機は小牧にとどまり、部品取りや、別の製品へのアップサイクル(作り替え)などに活用。慣れ親しんだ小牧で余生を過ごす。
13年間で3万時間超
4号機にあたるE170(1クラス76席)は2006年に製造。FDAは2010年に、米リパブリック航空(現リパブリック・エアウェイズ、RPA/YX)から中古機として購入した。平山機長によると、日本航空(JAL/JL、9201)が2010年に経営破綻した影響で松本空港から撤退し、FDAが松本路線を引き継ぐことになったことで、急きょ調達したという。
同機は米国でFDA機への改修作業や緑色へ塗り直しが進められ、同年10月8日にオハイオ州のポート・コロンバスを出発。ニューファンドランド島(カナダ)、サンミゲル島(ポルトガル)、アルメリア(スペイン)、ラルナカ(キプロス)、ドバイ、コルカタ、マカオの7地点を経由し、米国出発から5日目の同月12日に静岡空港へ到着した。
FDAでの就航は同年10月17日で、初便は静岡発熊本行きJH111便だった。同社での運航開始から退役までの13年4カ月で、飛行時間3万848時間、飛行回数は2万7557フライトサイクルとなった。4号機の機齢は約18年で、FDAが保有する機材では機齢が最も進んでいることから退役を決めた。退役を控えた今年1月30日には塗装を新しくするリペイントが施され、2月2日には社員有志が機内を清掃。送り出す準備を着々と進めてきた。
FDAが機材を退役させるのは、2009年7月の就航以来初めて。同社の機材は4号機を含め全16機が購入機で、退役する4号機を除きすべて新造機として導入している。4号機の退役後は15機体制となり、E170が2機、E175(1クラス84席)が13機となる。現時点で機材の追加導入は計画せず、当面は15機体制となる。最新の16号機(E175、JA16FJ)は2019年12月に導入し、発注分がすべてそろっている。
4号機は新路線の初便にたびたび投入されており、直近では2018年4月20日に就航した出雲-仙台線、2022年3月27日に就航した神戸-新潟線で運航した。神戸-新潟線は2023年8月20日の運航を最後に、出雲-仙台線は今年1月8日の運航を最後に、それぞれ運休した。
*写真は26枚。
最終日の運航スケジュール(定刻/実績)
JH200 福岡(08:35/08:32)→松本(10:00/09:57)
JH233 松本(10:35/10:33)→神戸(11:40/11:34)
JH833 神戸(12:45/12:38)→青森(14:20/14:11)
JH364 青森(14:55/14:50)→小牧(16:20/16:08)
JH417 小牧(17:05/17:07)→出雲(18:10/18:07)
JH418 出雲(18:45/18:44)→小牧(19:40/19:41)
関連リンク
ありがとう4号機(FDA)
フジドリームエアラインズ
4号機
・4号機だけどFDA最高齢、JAL破綻後の松本就航で唯一の中古導入(24年3月10日)
・FDA、退役4号機で遊覧フライト 3/3に会員限定(24年2月6日)
・FDA、初の退役機 緑色4号機、24年度は15機体制に(24年1月25日)
・FDA、連続式耐空証明を取得 4号機、毎年の検査不要に(18年4月6日)
4号機投入の各路線初便
・FDA、神戸-新潟就航 1日1往復、神戸5路線に(22年3月27日)
・FDA、出雲-仙台就航 “杜の都”で緑色4号機(18年4月20日)
19年12月に16号機導入
・FDAのバイオレット16号機、静岡到着 発注分すべて受領(19年12月19日)
【お知らせ】
4号機の初便や総飛行時間などを2パラグラフ目の3段目に追記しました。(24年3月11日 11:17 JST)