日本航空(JAL/JL、9201)は2月28日、代替航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:サフ、持続可能な航空燃料)」の原料となる廃食油を回収する取り組みを、横浜市と連携して実施すると発表した。第1弾として、3月から市内のイオンフードスタイル鴨居店で廃食油回収の実証実験を実施し、6月から本格回収を始める。
SAFは使用済み食用油である廃食用油などを原料とし、JALは全燃料搭載量のうち、2025年度に1%、2030年度に10%を従来の化石由来の航空燃料からSAFに置き換える目標を掲げている。航空業界では、2050年までに実現を目指すCO2(二酸化炭素)排出実質ゼロ、カーボンニュートラルの実現を目標としており、SAFの原料となる廃食油などの安定的な調達が課題になっている。
横浜市とJALは、廃食用油から国産SAFを精製するプロジェクト「Fry to Fly Project」に参画。今回の連携協定締結により、廃食用油のSAF化に向けて回収のしくみの構築や社会実装の推進、横浜市民への広報・啓発などに取り組む。
廃食用油の回収は、各家庭専用の回収ボトルで集め、店舗に設置された回収ボックスで収集。一定量溜まった段階で、廃食油回収事業者が集めてSAFなどの製造工場へ搬入する。
回収された廃食油がSAFとして利用されるのは、2025年以降となる見通し。それまで間はバイオディーゼルなどの原料として利用する。
横浜市とJALは、連携第1弾として横浜市緑区にあるイオンフードスタイル鴨居店で、回収の仕組みを構築。回収の実証実験1回目を3月16日と17日に実施し、SAFの認知拡大を目指すイベントを両日開催する。2回目は4月20日と21日、本運用の試験期間となる3回目は5月13日から19日で、本格回収を6月5日に始める。
Fry to Flyは、日揮ホールディングス(1963)が2023年4月17日に設立。JALや全日本空輸(ANA/NH)、関西空港などを運営する関西エアポート(KAP)、ボーイング ジャパンなどが参画している。
赤坂社長に聞くSAF
・航空業界の2050年脱炭素化「全然厳しい」特集・JAL赤坂社長に聞くコロナ後の成長戦略(3)(23年6月17日)
JALのSAF実験
・JAL、古着から国産バイオ燃料 787で初運航(21年2月4日)
国産SAF
・廃食用油から国産SAF、JAL・ANAら29者参画 日揮が“全員参加”Fry to Flyプロジェクト(23年4月18日)
・スシローの廃食用油で国産SAF 日揮ら4社が基本合意(23年4月6日)
・ANAやJALら、国産SAF実用化へ「ACT FOR SKY」設立 代替燃料で脱炭素社会へ(22年3月2日)