関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)は、新たなバードストライク対策として、人体に影響のない高周波を発する鳥類防除装置「バードソニック(鳥ソニック)」の試験運用を関西・伊丹・神戸の3空港で実施する。いずれも着陸帯付近に設置し、3月1日から約1年間検証する。
バードソニックは、自動車用品などを手掛けるT.M.WORKS(山梨・南都留郡)が開発。シカなどの野生動物が道路で自動車にひかれて亡くなる交通事故「ロードキル」を防ごうと開発された「鹿ソニック」を基に、鳥類が嫌がる高周波を発生させ、鳥を傷つけることなく回避行動を促す。
鹿ソニックとバードソニックは、ロードキル対策を研究してきた岡山理科大学基盤教育センターの辻維周(つじ・まさちか)教授が実験や検証などに協力。バードソニックは島根県の萩・石見空港や鹿児島県喜界島の喜界空港で検証が行われている。
辻教授によると、喜界空港の周辺には設置前日まで千鳥が多数飛来していたが、バードソニックを2基設置したところ、装置を稼働させた日はまったく現れなくなったという。音波の照射距離は150メートルから200メートルで人体に影響はなく、周波数や照射パターンを変えることで鳥類の「音慣れ」を防ぐようにしている。
KAPでは、バードストライクが航空機の損傷や欠航、遅延などにつながることから、鹿ソニックや他空港で効果が確認されているバードソニックの実証実験を実施することで、発生頻度の低減を目指す。
関連リンク
鹿ソニック(T.M.woks)
岡山理科大学
辻 維周(岡山理科大学)
関西国際空港
大阪国際空港
神戸空港
・萩・石見空港、高周波「鳥ソニック」でバードストライク対策検証(23年4月6日)