タイ民間航空局(CAAT)は現地時間2月22日夜、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が運航するボーイング787-8型機(登録記号JA803A)のメインランディングギア(主脚)に不具合が確認され、同日のバンコク発成田行きNQ2便など計4便が欠航したことについて、会社側に説明を求めた。当該機はバンコクを23日午前1時42分に成田行きNQ2便として出発し、午前9時41分に到着している。
—記事の概要—
・乗客に適切な措置求める
・ANA事業構造改革で誕生
乗客に適切な措置求める
当該機は、22日にバンコクで出発前の点検を受けた際、主脚に不具合が見つかり、部品交換が発生。日本から部品を空輸する必要があり、22日の成田行きNQ2便、日本時間同日に就航予定だった成田-ソウル(仁川)線初便の1往復(NQ21/22便)、22日夜の成田発バンコク行きNQ1便の計4便を欠航した。
エアージャパンの成田-バンコク線は、インバウンド(訪日客)を主なターゲットとした新ブランド「AirJapan」の1路線目で、2月9日に就航したばかり。座席数がエコノミークラスのみ324席の専用機材を使用している。
全日本空輸(ANA/NH)の運航便に使用していた787-8(2クラス240席)を改修したもので、現在はバンコクで不具合が起きた1機のみ。2機目(JA801A)は4月中旬に受領する見込みで、2025年度までに6機体制を構築する(関連記事1)。
CAATは、Facebookなどで発表した声明で、会社側に理由の説明を求めており、乗客に対し適切な措置を講じるよう強く求めた。また、当該便の利用者に対しては、補償を求める場合はタイの消費者保護委員会事務局(OCPB)へ相談できることを案内している。
23日午後5時30分現在、成田発バンコク行きNQ1便は、58Bゲートから定刻の午後5時55分に出発する見通し。
22日の初便が欠航した2路線目の成田-ソウル線は、24日に就航予定。バンコク線を週6往復、ソウル線を週5往復運航し、2号機受領後の4月26日に3路線目の成田-シンガポール線を週5往復で開設する。その後、4月29日からソウル線、30日からバンコク線をそれぞれ週7往復(1日1往復)のデイリー運航に増便する。
今回の欠航を受け、今後機材整備が発生した場合、どのような対応策を講じるかも、CAATから説明を求められるとみられる。
ANA事業構造改革で誕生
ANAHDは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下にあった2020年10月27日に、事業構造改革の一環として、片野坂真哉社長(現会長)が新ブランド構想を打ち出し(関連記事2)、2022年3月8日にブランド名「AirJapan」などを発表した(関連記事3)。
AirJapanブランドは、FSC(フルサービス航空会社)のANA、LCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)に続くANAグループ第3のブランド。アジア・リゾート路線をグループ内で担うエアージャパンを、FSCとLCCの長所を併せ持つ“いいとこ取り”の航空会社に衣替えした。同社が運航するANA便とAirJapan便ともに、同じ客室乗務員が乗務しており、これを強みとして打ち出している。
今回の欠航を受け、利用者からは事実上LCCと同じ扱いを受けた点を指摘する声が出ている。航空券の取消手数料は会社側が負担したとみられる。
一方、日本航空(JAL/JL、9201)は、中長距離LCCの構想をコロナ前の2018年5月14日に発表。2019年3月8日に社名をZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)、ブランド名をZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)にしたと発表した。設立時から新サービスを打ち出していく方針を示してはいるが、LCCとして他社と差別化する路線で事業を拡大している(関連記事4)。
関連リンク
CAAT (Facebook)
CAAT – The Civil Aviation Authority of Thailand
AirJapan
ソウル初便欠航
・AirJapanの787、主脚に不具合 バンコク発前に交換、成田-ソウル初便欠航(24年2月22日)
写真特集・ANA新ブランドAirJapan 787-8初号機
・ギャレー跡地は広々(24年2月14日)
初便はバンコク
・ANA新ブランドAirJapan、初便就航 訪日客狙い成田-バンコク(24年2月9日)
ANAブランドとの運航比率
・AirJapan便「半分超えはまだ先」2号機は4月中旬、当面ANA便主体(24年2月10日)
新ブランド「AirJapan」発表
・ANA新ブランド「快適性」と「訪日客」が焦点 特集・LCCじゃないAirJapan”いいとこ取り”(22年3月9日)
・ANA第3ブランド「AirJapan」787でフルサービスとLCC“良いところ取り”23年度下期就航へ022年3月8日)
新ブランド構想
・ANA、787で中距離国際線LCC新設 アジア豪州方面、エアージャパン母体で22年度就航へ(20年10月27日)
タイ航空局の安全性問題
・タイ・エアアジアX、札幌-バンコク4月再開 タイ当局問題解決で(18年1月19日)
・FAA、タイ当局「カテゴリー2」に格下げ タイの航空会社、米国へ新路線不可(15年12月3日)
・なぜタイ航空局は安全性を問題視されたのか 旺盛な訪日需要に影響も(15年3月31日)
・【スクープ】ICAO、タイ航空局に「重大な安全上の懸念」指摘へ 日本への新規就航に影響も(15年3月13日)