国土交通省航空局(JCAB)は2月7日、航空業界で課題となっているパイロットと整備士の人材確保に向けて、有識者会議「航空整備士・操縦士の人材確保・活用に関する検討会」の初会合を開いた。人材確保などの対策を議論する。
検討会の座長は、東京大学大学院工学系研究科の李家賢一教授が務め、慶應義塾大学理工学部の松尾亜紀子教授、公益社団法人・日本航空技術協会(JAEA)、公社・日本航空機操縦士協会(JAPA)、一社・全日本航空事業連合会、定期航空協会(定航協)、中日本航空専門学校が出席する。
航空局の北澤歩安全部長は「整備士はコロナ禍以降、専門学校の入学者が大幅に減少し、高齢化で今後大量退職が見込まれているなど、より一層厳しい状況にある。操縦士は今後の需要拡大の中で確実に養成を増やしていく必要があり、世界的な獲得競争の激化などもある。この10年で訪日外国人の増加、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による航空業界志望者の減少など、航空業界を取り巻く環境が大きく変化しており、早期に対策を講じることが重要だ」とあいさつした。
李家氏は「コロナの影響で航空業界は大きく状況が変わった。状況の変化と将来の航空需要をにらんで整備士、操縦士の人材確保、活用を考えなければいけない時期が来た」として、委員に活発な議論を求めた。
一方で、海外の航空会社などで働くパイロットや整備士の中には、待遇面の大きな開きに加えて、これまで世界基準に遅れをとってきた日本の航空行政のあり方に失望し、海を渡った人も多い。有識者や業界団体だけでなく、第一線で働く国内外のパイロットや整備士がどういった問題意識を持ち、アイデアを持っているのかなどにも耳を傾ける必要性が、グローバル化する人材獲得競争の中で高まっているといえる。
航空局内でもこうした現状に危機感を抱く幹部もおり、世界が注目する1月の羽田空港衝突事故の対策や原因究明なども、世界基準に基づいたものを打ち出せるかが、海外への人材流出を防ぐ上でもカギになる。
関連リンク
航空整備士・操縦士の人材確保・活用に関する検討会(国交省)
国土交通省
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