ボーイングで製造上の問題が相次いでいることを受け、日本航空(JAL/JL、9201)の斎藤祐二専務グループCFO(最高財務責任者)は2月2日、2026年から導入する737 MAX 8(737-8)をボーイングが予定通り納入できるかを注視していく姿勢を示した。FAA(米国連邦航空局)はボーイングの生産体制に対する監視を強化しており、737 MAXの増産が同社の計画通り進むかが不透明になりつつあるためだ。
JALは2023年3月23日に、737 MAX 8を2026年から導入すると発表。2007年3月1日に就航した現行機737-800(2クラス165席)の後継機で、21機導入する。国内の航空会社で737 MAXを導入するのはANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)、スカイマーク(SKY/BC、9204)に続き3社目で、JALがボーイングの新機材を発注したのは18年ぶり。
737 MAXは燃費とCO2(二酸化炭素)排出量をエンジンで12%、翼端のウイングレットで2%、胴体後部の形状見直しで1%改善し、合計約15%削減する。JALが50機導入した737-800のうち、今回の置き換え対象にならない分については、エアバスA320neoも含めさまざまな機材を対象に検討していく。
737 MAXの標準型は、737-800の後継となる2016年1月に初飛行した737 MAX 8(メーカー標準座席数1クラス189席)。もっとも胴体が短いのが737-700の後継機737 MAX 7(737-7、同172席)で、737 MAX 8の座席数をLCC向けに増やした737 MAX 200(737-8-200、同210席)、737NG(次世代737)で最大サイズだった737-900/-900ERの後継機737 MAX 9(737-9、同220席)、胴体長がもっとも長い737 MAX 10(737-10、同230席)をそろえる。
このうち、アラスカ航空(ASA/AS)が運航する737 MAX 9で現地時間1月5日、航空会社の仕様により非常口ドアとして使用される部分のドアプラグが離陸直後に脱落する事故が発生。FAAのマイケル・ウィテカー長官は、ボーイングの生産体制に不備があるとして、「品質管理上の問題が解決されたと我々が納得するまで、ボーイングからの生産拡大要請や、737 MAXの生産ライン増設の承認には応じない」としており、737 MAXの増産開始が遅れる可能性が出てきた。
JALが発注した737 MAX 8には、今回問題となったドアプラグは設置されていないが、737 MAXの増産が遅れた場合、納入遅延などの影響が及ぶ可能性がある。斎藤専務によると、今後ボーイングの増産計画がFAAに認められるかや、JALが発注した段階でボーイングが示した納入スケジュールを堅持するかなどを注視していきたいという。
一方、JALが100%出資する中長距離国際線LCC、ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)向けに2機受領を計画している787-8は、現在の生産レート内で製造できる範囲で、計画通り引き渡される見込みだという。
関連リンク
日本航空
JALの737 MAX
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