日本航空(JAL/JL、9201)は1月24日、新たな国際線フラッグシップとなるエアバスA350-1000型機を1路線目の羽田-ニューヨーク線に就航させた。当初は隔日運航で、2月2日から毎日運航する。約20年ぶりのフラッグシップ刷新で、ファーストクラスとビジネスクラスはJAL初のドア付き個室タイプとなった。コロナ後の旺盛な訪日需要を取り込むほか、日本発需要の活性化にもつなげる。
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—記事の概要—
・個室感高いファーストとビジネス
・13機で777-300ER更新
個室感高いファーストとビジネス
A350-1000は、長距離国際線機材であるボーイング777-300ER型機の後継機。24日の初便に投入された初号機(登録記号JA01WJ)は、現地時間2023年12月11日にエアバスの最終組立工場がある仏トゥールーズで引き渡されて14日に出発し、羽田へ15日に到着した。就航前の整備作業は羽田で行われ、機体後部に赤い「A350-1000」ロゴが大きなデカールで描かれたほか、客室最前方のファーストクラス付近には金色の「鶴丸」ロゴが掲げられた。
座席数は4クラス239席で、ファーストクラスとビジネスクラスはJAL初の個室タイプのシートを採用。ファーストが6席(1列1-1-1席)、ビジネスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)の「X35」と呼ばれる座席配置になっている。
内装は2019年に就航した国内線機材のA350-900と同じく英タンジェリン(tangerine)社が監修。日本の伝統美を意識した新シートを全クラスに導入した。
ファーストクラスは、座席上のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をすべてなくし、ビジネスは窓側のみとすることで開放感のある客室に仕上げた。ファーストの各席は高さ約157センチ(62インチ)の壁で仕切られており、ビジネスも約132センチ(52インチ)の壁を設けることで、個室感を高めてリビングのように過ごせるようにした。
航空会社がしのぎを削るビジネスクラスは、今回個室タイプとなったことで、ファーストクラスと同様にリラックスウェアを用意。また、ファーストとビジネスのヘッドレストにはスピーカーが内蔵されており、ヘッドホンをしなくても映画や音楽を自宅のように楽しめる。
プレエコは、世界で初めて電動リクライニングを採用。大型パーティションも設け、従来のビジネスクラスに近いシートになった。エコノミーは、個人用モニターが 約1.3倍に大型化し4K対応13インチとなり、リクライニングせず、そのまま着座しても快適に過ごせるよう、背もたれの角度などを工夫した。
全クラスに電源コンセントとType-A/Cの充電用USB端子を設置。ファーストとビジネスは、スマートフォンなどのワイヤレス充電にも対応している。
13機で777-300ER更新
24日に羽田空港第3ターミナルで開かれた就航式典で、JALの赤坂祐二社長は「A350-1000は省燃費、脱酸素、CO2(二酸化炭素)排出量が非常に少ない飛行機。従来の777と比較して燃料、CO2排出量を約25%削減でき、ニューヨークまでドラム缶で片道800本相当の燃料が必要だったが200本くらい少なくて済む」と、A350-1000の燃費やCO2排出量の優位性を説明。「大型機の特性を活用した。シートも新しくなったが、インテリア、機内食、機内エンターテインメントも一新した。ニューヨークまで長い旅になるが、存分にお楽しみいただきたい」とあいさつした。
「我々は安全安心な旅を提供するのが使命。日本人のホスピタリティあるサービスを提供し、JALを海外の人にも御愛顧いただきたい」(赤坂社長)と、A350-1000導入により、日本らしいサービスに磨きをかけていく意気込みを語った。
羽田発初便のニューヨーク行きJL6便は、乗客209人(幼児2人含む)と乗員19人(パイロット4人、客室乗務員15人)の計228人を乗せ、羽田空港112番スポット(駐機場)から午前11時12分に出発した。見送りには約90人のJAL社員が参加し、新たな旗艦機の門出を祝った。
JALは777の後継機として、11年前の2013年10月7日にA350を発注したと発表。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、ボーイングなど米国製と相場が決まっていたことから、欧州のエアバス機導入は日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。標準型のA350-900を18機、約7メートル長い長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。国内線機材のA350-900は2019年9月1日に就航しており、16号機(JA16XJ)まで受領している。
システムの95%がA350-900と共通で、タイプレーティング(機種別操縦資格)も共通なので、航空会社が需要や路線のニーズに合わせて2機種を使い分けやすい。
めちゃくちゃ揺れてますがJAL A350-1000初便JL6便離陸時の機外カメラです。#JAL #A35K #A350 #JL6 #ビジネスクラス pic.twitter.com/49enj5HiOB
— Aviation Wire (@Aviation_Wire) January 24, 2024
エンジンは英ロールス・ロイス製Trent XWB-97(トレントXWB-97)で、推力は9万7000ポンド。ロールス・ロイスによると、A350-900用のTrent XWB-84(推力8万4000ポンド)と比べ、新しい高温タービン技術やより大きなエンジンコア、ファンの空力特性の組み合わせで推力を増加させたという。機体の空力改善やエンジンにより、777やA340-600と比べて燃費や1座席あたりの運航コストを25%改善している。
メインランディングギア(主脚)は、A350-900は787などと同じ1脚あたり4輪だが、A350-1000は777と同じ6輪に増えた。JALはA350-1000の独占タイヤサプライヤーとして、ミシュランを選定している。
今年度は3号機(JA03WJ)まで受領する計画で、2号機(JA02WJ)が羽田へ14日に到着。1路線目の羽田-ニューヨーク線は隔日でA350-1000を投入し、2号機が就航する2月2日からは毎日運航となる。3号機を受領後は、2路線目の羽田-ダラス・フォートワース線に投入する。
*写真は26枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。
運航スケジュール
JL6 羽田(11:05)→ニューヨーク(10:00)
JL5 ニューヨーク(12:40)→羽田(翌日17:15)
関連リンク
JAL国際線 AIRBUS A350-1000
日本航空
初便離陸
・JALのA350-1000、羽田離陸しNYへ 新旗艦機13機で777-300ER更新(24年1月24日)
国内初公開
・JAL、A350-1000国内初公開 金の鶴丸掲げ個室ファースト・ビジネスお目見え(24年1月15日)
写真特集・JAL新旗艦機A350-1000
(1)ダブルベッドも可能な個室ファーストクラス
(2)個室内で完結する足もと広々ビジネスクラス
(3)後ろを気にせず電動リクライニングできるプレエコ
(4)4K13インチ画面エコノミーは快適さ追求
A350-1000 2機並ぶ
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