中国が沖縄県の尖閣諸島上空を含む、東シナ海の空域に防空識別圏を設定した問題で、米国の大手航空会社3社は11月30日にフライトプラン(飛行計画)を中国に提出した。一方、日本航空(JAL、9201)や全日本空輸(ANA)など国内の航空各社は27日から提出を取り止めている。
中国当局にフライトプランを提出した米国3社は、ユナイテッド航空(UAL)とアメリカン航空(AAL)、デルタ航空(DAL)。関係者によると、安全確保を理由に提出した模様。
米国3社の動きに対して、国内航空会社の業界団体である定期航空協会に加盟するJALやANAなどは、香港線や台湾線などで問題となっている防空識別圏を飛行する際、中国当局には届け出ていない。
NHKによると、日本政府は国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)の理事会で、この問題の対応検討を提案した。
JALとANAによると、12月1日時点で日本政府から2社に対して対応変更に関する指示はなく、フライトプランの提出はこれまで通り取り止めている。この問題については定航協を窓口に国交省とやり取りしており、今後もこの判断を基に自社の考えと照らし合わせ、最終的な対応を決めるという。
防空識別圏は領空の外側に設定された空域。事前通報なく飛行した場合、スクランブル(緊急発進)の対象となるが、侵入機に対する攻撃は本来認められていない。しかし、今回の問題については安全を確保できないとの見方も航空会社側では強い。