豪州空軍の多目的空中給油・輸送機KC-30A(エアバスA330 MRTT)が、米空軍の偵察機RC-135と攻撃機A-10Cの2機種に対し、空中給油適合確認飛行試験を米国で実施した。
KC-30Aは、A330 MRTTの豪州空軍での呼称。同軍の航空機研究開発隊(ARDU)と米空軍が共同で約1カ月間実施した確認試験で空中給油を行った。豪州国防省によると、8回の飛行でKC-30AとRC-135は412回のコンタクトを、A-10Cとは34回のコンタクトを実施した。
A-10Cは、A330 MRTTが通常空中給油を行う大半の航空機よりも大幅に遅い速度で飛行するが、低速条件でも充分な性能を実証したという。今回の試験は、3カ月かけて必要なデータ収集の内容や試験のリスクを調査後に行われた。
今回の試験で収集したRC-135との空中給油データは、米空軍の飛行試験報告書に向けたペアリングの最終飛行試験評価に使用。豪州と米国の両国が適合確認試験を認定すると、将来的に両機種による空中給油が可能になる。
A330 MRTTは、中型旅客機A330-200を基に開発した機体。豪州空軍がローンチカスタマーで、2004年に5機発注した。2011年から2019年にかけて7機受領し、5機目までは新造機、6機目と7機目はカンタス航空(QFA/QF)が運航していたA330-200をエアバスが改修しており、このうち7機目はVIP仕様になっている。
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