日本航空(JAL/JL、9201)は1月17日、新社長に鳥取三津子専務(59)が就任する4月1日以降の役員体制を発表した。赤坂祐二社長(62)は代表権のある会長に退き、植木義晴会長(71)は退任する。JALでは初の女性社長、初の客室乗務員出身で、統合前の日本エアシステム(JAS)出身でも初の社長就任となる。
鳥取新社長は、1985年4月に客室乗務員として東亜国内航空(TDA、のちにJAS、現JAL)に入社。成田第2客室乗員部部長や客室安全推進部部長、客室本部長を歴任し、2022年4月に常務執行役員 客室本部長、2023年4月から専務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、同年6月からは代表権のある専務務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、グループCCO(最高顧客責任者)を務めている。
都内で17日に開かれた会見で、鳥取氏は「御巣鷹山のJAL123便事故が起きた1985年に客室乗務員として乗務を始めた。当時を知る者として、安全運航の大切さを次の世代に伝えていく責任がある」とあいさつした。
2日に羽田空港で起きた海上保安庁機MA722(ボンバルディアDHC-8-Q300、登録記号JA722A)とJALのエアバスA350-900型機(札幌発羽田行きJL516便、登録記号JA13XJ)の衝突事故では、海保側に5人の死者が出た中で、JL516便の乗客乗員379人は全員が脱出した。
鳥取氏は「客室乗務員は1年間の大部分を費やして訓練を受けて乗務している。客室乗務員は安全とサービスの両方を担っており、使命感がものすごく強いと思う。9人の客室乗務員は本当は自分もものすごく怖かったと思うが、一人残らず必ず脱出させるという思いがあり、乗客の協力があってこそ全員が脱出できた」と、客室乗務員の訓練だけではなく、乗客の協力なくして今回の全員脱出はなし得なかったと語った。
赤坂社長は「昨年度黒字化できそうだな、と思った時にそろそろ次にバトンタッチだと思った。日本のコロナ明けが遅れたが、当初計画のEBIT(財務・法人所得税前利益)1000億円が見えてきたので、昨年秋ごろにそろそろ私の役割は終わりにしたいと思った」と明かした。
「お客さまを第一に、社員の能力を最大限に引き出して欲しい。ここ数年で課題が多様化しており、チーム経営ができるかが非常に重要。長くお客さまのサービスや安全に従事してきた鳥取さんがふさわしい」(赤坂社長)と、鳥取氏への期待感を述べた。
鳥取氏はJALでは初の女性社長、初の客室乗務員出身であると同時に、2004年の経営統合後、JAS出身者が初めて社長に就任する。鳥取氏は「統合当初は国際線のJAL、国内線のJASで(業務で使用する)マニュアルなども異なり、個人的に苦労したこともあったが、今は社内で元JAL、元JASと考える人はほとんどいないのではないか」と統合後20年の変化を語った。
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