日本航空(JAL/JL、9201)の中型旅客機ボーイング767-300ER型機を改修した貨物専用機の初号機(登録記号JA653J)が1月17日夕方、成田空港へ到着した。2月19日から成田と中部を起点とし、台北(桃園)、ソウル(仁川)、上海(浦東)の東アジア3都市へ運航する。JALが貨物機を導入するのは2010年度以来約14年ぶりで、物流の2024年問題に対応する。
貨物機専用機の初号機はJL8160便として、シンガポールのパヤ・レバー空港を現地時間17日午前8時46分に出発。午後4時27分に成田空港のB滑走路(RWY16L)へ着陸し、同40分に貨物地区にある201番スポット(駐機場)へ到着した。
JALは自社で保有する767-300ERのうち、3機を貨物専用機(貨物機)に改修。最大搭載重量は上部貨物室が32トン、下部貨物室が16トンで、上部にはパレットを24台、下部にはパレット3台に加え、コンテナを9台搭載できる。ボーイングが手掛ける「767-300BCF(ボーイング・コンバーテッド・フレーター)」と呼ばれるもので、初号機のJA653Jのほか、JA654Jを含めた2機が改修対象となる。JA654Jは現在改修を進めており、2月中に成田へ戻る見込み。3号機は未定となっている。
3路線設定する貨物専用便はいずれも三角運航で、台北とソウルは2月19日から週5便ずつ、上海は3月1日から週6便運航する。台北行きは成田を出発し、台北からは中部へ戻る。ソウル行きは中部を出発し、ソウルからは成田へ戻る。
上海への貨物専用便は3月1日から運航。成田から中部を経由し、上海からは成田へ直行する。成田発中部経由の上海行きは週5便、上海発成田行きは週6便で、成田発上海行きの直行便を週1便設定する。
運航スケジュールは、各路線とも曜日により異なる。
JALはかつて「ジャンボ」ことボーイング747型機を中心に貨物機を運航していたが、2010年1月の経営破綻後、事業見直しで貨物機の運航から撤退。自社の旅客機の床下貨物室や他社の貨物機を活用するようになった。
また自社の貨物機に加え、4月11日からはヤマトホールディングス(9064)と貨物専用機も運航。連結子会社のスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)がエアバスA321ceo P2F型貨物機を運航するが、ヤマトHDが3機リース導入するもので、JALの保有機材ではない。
*写真は12枚。
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