日本航空(JAL/JL、9201)の次期国際線フラッグシップとなるエアバスA350-1000型機の初号機(登録記号JA01WJ)が12月15日午前、羽田空港に到着した。現行のボーイング777-300ER型機の後継となる国際線のフラッグシップ機で、国際線の“顔”となる長距離路線の機材を刷新。羽田-ニューヨーク線が最初の投入路線で、2024年1月24日に就航する。羽田空港のJAL格納庫に到着した初号機を赤坂祐二社長をはじめ約100人の社員が出迎え、社員は赤いビブスを着用し横断幕を掲出して歓迎した。
—記事の概要—
・「南回り」で羽田へ
・赤坂社長「エアバスに怒られた」
・年度内は3機導入
「南回り」で羽田へ
現地時間14日に、機体の引き渡し場所となった仏トゥールーズから羽田へ向かったフェリーフライト(回航便)のJL8102便は、午後1時13分に出発し、同46分に離陸した。15日午前10時26分に曇天の羽田空港のA滑走路(RWY34L)に着陸し、同34分に格納庫前の211番スポット(駐機場)へ到着した。JALのA350新造機のフェリーフライトでは、2022年4月21日に受領した国内線仕様機のA350-900 16号機(JA16XJ)に続き、ロシア領空を迂回(うかい)して中央アジアなどを飛行する「南回り」を選択した。
グランドハンドリング(グラハン:航空機地上支援)スタッフは機体の車止めに使う木製の「チョーク」は3セット6本とも新品を用意し、新機材を出迎えた。真新しい機体は機首を格納庫の入口側に向きを変え、格納庫内へプッシュバックされると、社員は手持ちのスマートフォンで動画や静止画を撮影し、歓迎した。
赤坂社長「エアバスに怒られた」
JL8102便はJALの南剛士機長と高尾誠機長、水落崇之副操縦士の3人が乗務。到着機からは3人が降機し、赤坂社長が握手で出迎えた。
格納庫で開催した社内向けの式典で、赤坂社長は旗艦機の更新は約20年ぶりとした上で、「こういう機会はなかなかない。末永く運航できるように、さらにいい機体に育てて」と社員に語りかけた。
A350-1000は1月に就航し、羽田-ニューヨーク線へ投入する。赤坂社長は、従来機の777-300ERでニューヨークへ向かう場合はドラム缶約800本分の燃料を消費するとし、「A350-1000の場合は200本近く少なく済む」と低燃費であることを強調した。
同機はニューヨーク線に続き、2路線目は羽田-ダラス・フォートワース線への投入が決まっている。赤坂社長は欧州の機体メーカーであるエアバスから、「なぜ米国が初便なのか、と怒られた」とのエピソードを笑いながら紹介し、欧州路線への投入も段階的に進めていくとの認識を示した。
年度内は3機導入
A350-1000は、2004年7月1日に就航したボーイング777-300ER型機の後継機。今年度(23年度)は3機導入し、3号機を受領後は2路線目の羽田-ダラス・フォートワース線に投入する。座席数は4クラス239席で、ファーストクラスが6席(1列1-1-1席)、ビジネスクラスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)となる。
ファーストとビジネスには、JAL初となるドア付き個室タイプのシートを導入。ファーストは座席上のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をすべてなくし、ビジネスは窓側のみとすることで開放感のある客室に仕上げた。
JALは777の後継機として、10年前の2013年10月7日にA350を発注したと発表。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、ボーイングなど米国製と相場が決まっていたことから、欧州のエアバス機導入は日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。標準型のA350-900を18機、長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。国内線機材のA350-900は2019年9月1日に就航しており、16号機(JA16XJ)まで受領している。
A350-1000は当初、11月下旬に就航予定だったが、サプライチェーンの乱れに伴う部品の納入遅れなどにより計画が見直しとなり、1月24日の就航となった。
*写真は23枚。
*トゥールーズ出発時はこちら。
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日本航空
写真特集・JAL新旗艦機A350-1000
(1)ダブルベッドも可能な個室ファーストクラス
(2)個室内で完結する足もと広々ビジネスクラス
(3)後ろを気にせず電動リクライニングできるプレエコ
(4)4K13インチ画面エコノミーは快適さ追求
トゥールーズ現地取材
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