日本航空(JAL/JL、9201)が20年以上運航してきたボーイング777-200ER型機のうち、最後の1機となった3号機(登録記号JA703J)が12月12日夜、羽田空港から売却先の米国へ向かった。退役機は通常、羽田空港から売却先まで乗客を乗せない「フェリーフライト(回航便)」で運航するが、今回は片道チャーターの営業運航に切り替えて参加者27人らを乗せて出発。JALの777-200ERは2002年8月1日の就航以来、約21年の運航に幕を下ろし、全11機が日本から姿を消した。
—記事の概要—
・エンジンカウルに寄せ書き
・21年間で6万時間超
エンジンカウルに寄せ書き
売却先へ向かうチャーター便は羽田発ロサンゼルス行きJL8132便として、JALの社員に見送られて羽田格納庫前の213番スポット(駐機場)を午後8時30分に出発し、C滑走路(RWY34R)から同58分に離陸した。
出発前に139番搭乗口で開かれたセレモニーでは、JAL運航本部の立花宗和本部長があいさつ。777-200ERについて「新しい機能をふんだんに使用した機体だった」と紹介した。また、JALエンジニアリング(JALEC)羽田航空機整備センターで777の担当整備士・和田雅洋さんと、777運航乗務部の坂本竜一部長、JA703J導入時にテストパイロットとして携わったZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)のオペレーション本部付部長の丹治和貴機長らによるトークショーを開催した。
このほか、ボーイング民間航空機部門で777・777Xプログラムのヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるブラッド・ザバック氏がシアトルから来日し、謝辞とねぎらいの言葉を述べた。またボーイングは、開発が進む次世代大型機777-9の模型飛行機を提供し、参加者に抽選でプレゼントした。
出発前の213番スポットでは機体撮影の時間が設けられ、JA703Jを思い思いに撮影。その後、左エンジンのカウルに寄せ書きをして搭乗した。JALの社員も事前に寄せ書きし、「長い間ありがとう」「お疲れさま」など異口同音に感謝を伝えていた。
乗客27人のうち、ビジネスクラスは10人、エコノミークラスは17人が利用。このほかJALの添乗者として、777運航乗務部の会田雄吾副操縦士と井上大希副操縦士、オペレーションコントロール部で運航管理者を務める江崎純さんら4人も搭乗し、パイロット3人、客室乗務員12人で運航した。
21年間で6万時間超
JA703Jは約21年前の2003年2月4日に導入。最終便は今年11月12日の那覇発羽田行きJL916便で、離日前日の12月11日時点の総飛行時間は6万6217時間、飛行回数は1万7052フライトサイクルだった。最終運航から1週間後の11月19日には「非日常」をテーマにした見学ツアーが開催され、パイロットや整備士、客室乗務員のトークショーや、コックピットなどの機体見学、航空会社のイベントでも珍しい機体洗浄体験などが行われた(関連記事)。
JALはマクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-11型機の後継機として、777-200ERを2002年から11機導入。エンジンはGE製GE90-94Bで、東南アジアやハワイなど中距離国際線を中心に投入されていたが、2021年に国際線の運航から離脱し、5機を国内線に転用した。777-200ERで運航する国内線のうち、往路の飛行時間が3時間を超える最長路線だった羽田-石垣線は、今年4月2日が最終運航となった。
JALの777は国内線機材の777-200と777-300、国際線機材の777-200ERと777-300ERの4機種計46機あったが、777-200ERの3号機離日により長距離国際線機材の777-300ERを除く3機種が日本から姿を消した。JALの777は、全13機の777-300ERのみとなった。
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日本航空
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