ヤマトホールディングス(9064)が保有するエアバスA321ceo P2F貨物機(登録記号JA81YA)が12月12日昼過ぎ、羽田空港へ到着した。訓練飛行の一環で、2024年夏ごろに開設予定のルートとは異なり成田-羽田間を往復する。日本航空(JAL/JL、9201)グループのLCC、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)のパイロットが乗務する。同機が羽田に姿を現したのは初めて。
*羽田を離れ成田へ。記事はこちら。
羽田への訓練飛行初便となった12日は、成田発IJ9625便として午前11時46分に出発し、午後0時2分に離陸。羽田には午後0時27分に着陸し、同35分に到着した。羽田発IJ9626便は同日夕方に出発し、成田へ戻る見通し。
A321P2Fは、中古のA321ceo(従来型A321)旅客機を貨物専用機に改修したもので、10トン車約5-6台分に相当する1機当たり28トンの貨物を搭載できる。ヤマトHDは3機のA321P2Fを導入予定で、残り2機も初号機と同じシンガポールで改修作業が進められている。
就航は2024年4月11日を予定。トラックドライバーの時間外労働の上限規制など、輸送力減少が懸念される中、首都圏から北海道や九州、沖縄への長距離トラックによる宅急便輸送の一部を補完し、全3機で1日21便を計画している。
4月11日の就航当初は、成田-札幌線を1日2往復4便(IJ403/406、IJ405/408)、成田-北九州線を1日3便(成田発IJ425、北九州発IJ422と426)、成田発那覇行きを1日1便(IJ451)、那覇発北九州行きを1日1便(IJ456)運航。夏ごろをめどに、羽田空港を深夜早朝に発着する札幌線と北九州線の運航を始める。
スプリング・ジャパンのパイロットはボーイング737-800型機を操縦しているが、一部の人はA320のライセンスも保持しており、4月の運航開始までに機種移行を済ませる。3機のA321P2Fを運航するには、60-70人程度のパイロットが必要になるとみられる(関連記事)。
パイロットが実際の飛行ルートを飛ぶ「プルービングフライト」は、当初は機体をお披露目した11月20日から始める予定だったが、機体に整備作業が発生したことから延期。22日が初のプルービングフライトとなり、成田-関西間を1往復した。
関連リンク
ヤマトホールディングス
日本航空
スプリング・ジャパン
羽田訓練初日終了し成田へ
・ヤマトのクロネコ貨物機、羽田から成田へ 訓練初日(23年12月12日)
成田到着・お披露目
・ヤマトとJALのクロネコ貨物機A321P2F、成田でお披露目 4/11就航へ(23年11月20日)
・ヤマトのA321P2F貨物機、羽田に深夜早朝乗り入れ 札幌と北九州(23年11月20日)
・ヤマトのA321P2F貨物機、JALの787やスプリング737と成田で並ぶ 24年4月就航(23年11月20日)
・JALとヤマトのクロネコ貨物機、成田到着 A321P2Fをスプリング運航、長距離トラック補完(23年11月6日)
プルービングフライト
・ヤマトのA321P2F貨物機、北九州も訓練開始 関空経由の三角運航(23年11月23日)
・ヤマトのA321P2F貨物機、関空へ初の訓練飛行 JAL系スプリングJが運航(23年11月22日)
A321P2Fをスプリング・ジャパンが飛ばす背景
・JALとヤマトのA321貨物機、なぜスプリング・ジャパンが飛ばすのか(22年11月22日)
カタール航空のA321改修
・JALとヤマトA321P2F貨物機、カタール航空機を改修(22年11月22日)
ヤマトとA321P2F
・JALとヤマト、A321貨物機の改修開始 成田・北九州・関空で11月から飛行訓練(23年6月6日)
・JALとヤマト、A321貨物機で東京-北九州など4路線 スプリング・ジャパン運航で24年4月(2年11月22日)
・ヤマトとJAL、貨物機を24年4月から運航 クロネコ描いたA321P2F導入(22年1月21日)
特集・LCCで飛ばすヤマトとJAL貨物機事業
・ヤマトはなぜA321P2Fを選んだのか(22年1月22日)
A321P2F
・ルフトハンザ・カーゴ、A321を貨物機に改修 22年から2機(21年7月10日)
・エアバス、貨物機転用プログラム A320とA321で(15年6月19日)
JAL貨物機解禁の背景
・JALはなぜ”禁じ手”貨物機を解禁するのか 特集・ヤマトと組むコロナ後の貨物戦略(23年5月4日)
24年2月就航の767貨物機
・JAL、767貨物機2月就航 成田・中部から上海ソウル台北へ(23年12月1日)
・JAL、貨物機を13年ぶり導入 767旅客機を改修、23年度末から東アジアに(23年5月2日)