全日本空輸(ANA/NH)は12月8日、空港のカウンターでチェックイン業務などを行う地上係員(グランドスタッフ)の接客技術を評価する「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」を、羽田空港近隣の総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」で開催した。16回目の今回は、新千歳空港の樽澤一希(たるさわ・いつき)さんがグランプリを獲得した。
—記事の概要—
・6000人の中から11人出場
・乗客役からの“トラップ”対応力
・井上社長「世界レベルでのサービス提供できる」
6000人の中から11人出場
今回のテーマは、「Let’s make ワクワク」。多くの環境変化による状況下で、地上係員としてのやりがいや誇りからワクワクを見出し、利用客へワクワクを届けることを期待してテーマを決定した。今回は国内と海外計94空港の約6000人の地上係員の中から、53空港53人による予選を勝ち抜いた国内線8人と国際線3人の計11人が本選に出場。国際線は3人すべてが海外空港から参加した。
本番では、1人あたり5分程度の持ち時間で実力を披露した。旅客視点やiPadを活用した情報提供、次回の搭乗につながる案内などで審査し、利用客のニーズに合っているかやイレギュラー時の対応力などを見極めた。
審査員はANA社内の6人が務め、井上慎一社長と、オペレーション部門総括の服部茂常務、オペレーションマネジメントセンター長の立石文恵執行役員、CX推進室長の石井智二上席執行役員、デジタル変革室長の加藤恭子執行役員、オペレーションサポートセンター長の荒木光彦執行役員が審査した。
乗客役からの“トラップ”対応力
コンテストでは、さまざまな乗客役を社員が演じた。マイレージの事後登録やペットの預け入れ、到着時に破損したスーツケースへの対応など、出場した11人には、すべて異なる“トラップ”を用意した。
グランプリとなった樽澤さんは、保安検査の締め切り後に到着した2人組の利用客への対応力を審査。便の変更ができる運賃だったことから、後続便への変更を案内するなどの対応力をみせた。また土産などの手荷物を2つ以上持ち込もうとしており、軽そうな荷物だったため、まとめるかカウンターで預けるかを提案した。
コンテストでは利用客への対応力のほか、乗客役の社員が各空港の土産物や観光地など、地上係員がおすすめする地元のものを尋ねるケースが多い。樽澤さんはおすすめの土産を聞かれ、ANAが函館の洋菓子店「ペイストリースナッフルス」と共同開発した新千歳空港限定のシュークリームをすすめていた。
井上社長「世界レベルでのサービス提供できる」
今回のスキルコンテストは前回の2022年と同じく対面開催で、オンラインでも配信した。井上社長は昨年に引き続き2度目の参加で「コロナ前に近いスタイルでの開催となり、しびれる緊張感とワクワク感が伝わってきた」と満足した様子で振り返った。11人の接遇は「いずれも甲乙つけがたいレベルのパフォーマンス」と評価。「世界レベルでのサービスが提供できる」とした上で、「接遇に磨きかけて」と語りかけ、さらなる向上を求めた。
グランプリを獲得した樽澤さんは「本番中は緊張してほぼ記憶がない」と振り返り、「自分はうまくできるか不安だったが、何度も練習に付き合ってくれた仲間に感謝したい」と話した。
樽澤さんが最終選考に進むのは初めてだという。ほかの出場者のパフォーマンスをみて「皆さん落ち着いて冷静な対応をされている」と感じたようで、最終選考で学んだものを持ち帰り、同僚・後輩に広め向上に努めたいとした。
準グランプリは中部空港の関戸麻衣さんが、審査委員特別賞は佐賀空港の江﨑章代さんと、ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ空港のChau Steven(スティーブン チャウ)さんの2人がそれぞれ受賞した。
空港カスタマーサービス スキルコンテスト出場者(敬称略で出場順、括弧内は所属空港)
猪ノ口 華歩(大分空港)
朝比奈 由麻(静岡空港)
瓜生 舞(神戸空港)
郝 鋭〈ハウ ルイ〉(青島空港)
大樂 鈴(旭川空港)
江﨑 章代(佐賀空港)
魏 沫茹〈ウェイ モル〉(大連空港)
樽澤 一希(新千歳空港)
Chau Steven〈スティーブン チャウ〉(ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ空港)
橋口 舞(福岡空港)
関戸 麻衣(中部空港)
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