今年4月に米連邦破産法11条(Chapter 11)の適用を申請した米ヴァージン・オービット(カリフォルニア州)のボーイング747-400型機(登録記号N744VG)が現地時間12月5日、カリフォルニア州のモハベ(モハーヴェ)空港・宇宙港に到着した。マッハ5以上で飛行する極超音速技術を開発中の米ストラトローンチ・システムズが新たな所有者となったことによるもので、2024年前半から極超音速試験ミッションに投入される見込み。
ストラトローンチ社は、マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏らにより2011年に設立された。エンジンが6基、胴体が2つの巨大双胴機「Roc(ロック)」(N351SL)を母機として、人工衛星を搭載したロケットを空中発射するプロジェクトを進めてきたが、2018年にアレン氏が亡くなったことでロケットの開発が中止となり、現在は極超音速機の開発に中核事業を転換。Rocと飛行試験機TA-1による試験に着手している。
新たに取得した747-400は、ストラトローンチの従業員が「The Spirit of Mojave」と命名。モハベで極超音速試験ミッションに使用するための改修作業が行われた後、運用開始を計画している。5日はカリフォルニア州のサンバーナーディーノ国際空港からモハベへフェリー(回航)された。両空港とも砂漠地帯にあることから、航空機の保管に利用されている。
モハベ砂漠にあるモハベ空港は「飛行機の墓場」のひとつとしても世界的に有名。現在は「空港・宇宙港」を名乗り、ベンチャー企業などの宇宙開発にも関わっており、ストラトローンチ社の従業員もこうしたモハベの航空宇宙に対する情熱に敬意を表し、747-400に愛称をつけたという。
今年5月に日本航空(JAL/JL、9201)が実施した、ボーイング777-200ER型機の初号機(JA701J)退役ツアーでは、モハベ空港に駐機されている元JALの777を見学する日程が組まれた(関連記事1)。今月12日から行われる、JAL最後の777-200ERとなった3号機(JA703J)のツアーでも、モハベを訪れる。また、2024年3月には、全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループが退役機再会ツアーを開催する(関連記事2)。
ストラトローンチ社の保有となった747-400は、ヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)が2001年に受領した旅客機(747-400、G-VWOW)をベースに改修した、人工衛星を積んだロケットの空中発射母機。2015年から英ヴァージン・グループのヴァージン・ギャラクティック、2017年からはオービット社が保有し、同社が航空機を利用した人工衛星打ち上げ事業を計画していたが、今年1月に打ち上げに失敗後、3月に事業を停止した。オービット社のウェブサイトもすでに閉鎖されている。
オービット社は、ANAホールディングス(ANAHD、9202)と日本・アジア展開に関して2019年に提携。大分空港を拠点に、人工衛星を搭載したロケットの空中発射を計画していた。
The Spirit of Mojave returns to its home at Mojave Air and Space Port. pic.twitter.com/kNEy650wEu
— Stratolaunch (@Stratolaunch) December 6, 2023
関連リンク
Stratolaunch
Mojave Air & Space Port,
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
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ヴァージン・オービット
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