北海道で駆除の対象となっている未利用資源「モクズガニ」の商品化を目指す試食会が、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)と連携協定を結ぶ東京農業大学(東京・世田谷区)で11月30日に開催された。ピーチが販売するグッズには再利用商品が多いことから、未利用資源の活用の観点でピーチ社員が学生にアドバイスした。モクズガニは中国の高級食材「上海ガニ」の近縁種だが、水産資源への食害などにより駆除対象となっており、未利用資源を活用で地域課題の解決を目指す。
モクズガニは北海道根室市と別海町にまたがる風蓮湖に生息する。湖内に大量発生し、漁網被害や水産資源への食害が増えていることから駆除対象となっている。身が泥臭いため、そのままでは食用に適さない。湖で捕獲した駆除対象のモクズガニを、東京農大が引き取り、網走市内で養殖。地域で廃棄されるブロッコリーとカボチャ、ナガイモをエサとして与えることで、身の泥臭さが消え、おいしく食用できるレベルへの引き上げを狙う。
試食会は世田谷区にある東京農大の学食「カフェテリアグリーン」で開催。同大の教職員や中華圏からの留学生のほか、大学近隣の住民らも参加し、約140人がゆでたての“未知の味”を体験した。参加者からは「小ぶりだけどおいしい」「破棄はもったいない」などの声が聞かれたという。
東京農大 生物産業学部 自然資源経営学科の上田智久教授は、今回のプロジェクトについて、「地方創生の観点から、持続的な地域社会の発展を考えた」と説明。「ピーチからは学生にはない消費者目線でのアドバイスをもらった」とし、将来的な商品化につなげたいとした。
ピーチは連携協定の一環として、東京農大の学生と定期的な話し合いの場を設けている。学生から地域の困りごとの解決を望む声があったことが、今回のプロジェクトにつながった。ピーチ事業戦略企画室の越出あい香さんは、モクズガニを選んだ狙いについて、「地域の第一次産業での課題解決や未利用資源の活用につながるのではないかと考えた」と説明した。
ピーチと農大の2者は、包括連携協定を2年前の2021年7月30日に締結。農大は世田谷区と神奈川県厚木市、北海道網走市にキャンパスを持ち、協定締結と同時に網走のオホーツクキャンパスで学ぶ学生ならではの視点を農業・食・観光の分野で取り入れた共同開発などを進めてきた。今年2月には学生と共同開発した香り付きステッカー「フレッカー」を発表。オホーツクの香りをイメージした商品で、今回のモクズガニのプロジェクトは、フレッカーに続く第2弾の取り組みとなる。
関連リンク
ピーチ・アビエーション
東京農業大学
・ピーチと東京農大、オホーツクの香り届けるステッカー 花言葉「くじけない心」(23年2月16日)
・ピーチ、東京農大と連携協定 オホーツクで学ぶ学生と共同開発(21年7月30日)