NATO(北大西洋条約機構)は、早期警戒管制機(AEW&C)E-7A「Wedgetail(ウェッジテイル)」を現行の早期警戒管制機(AWACS)E-3Aの後継機として選定した。6機導入する計画で、最初の機体は2031年までに運用開始を予定している。
E-7Aは、ボーイングが「AEW&C(Airborne Early Warning & Control)」と呼ぶボーイング737-700型機がベースの早期警戒管制機。MESA(多機能電子走査アレイ)センサーにより、複数の空中と海上の脅威を360度同時に監視する能力を持つ。オープンアーキテクチャーを採用し、将来の脅威に対して能力を向上できる。
NATOによると、E-7の主要拠点はE-3と同じくドイツのガイレンキルヒェン空軍基地とし、欧州各地の基地で運用される可能性があるという。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、E-7について「NATOの集団防衛にとって極めて重要。加盟国は個々の国が購入するには高価すぎる主要な資産を集団で購入し、運用できる」と述べた。
現行のE-3Aは707をベースにした機体で、NATOは1982年2月から1985年5月にかけて18機受領。コックピットのアナログ計器を2016年11月から2018年12月にかけてグラスコックピットに改修済みで、2035年に退役が予定されている。機体後方上部に設置されたキノコのような大きな円盤型の回転式レーダーが特徴で、E-7は板状の固定式になった。また、E-3では4基あったエンジンが、737ベースのE-7は2基に半減する。
E-7の愛称「ウェッジテイル」は最初に導入した豪州空軍の命名で、これまでに豪州のほか、英国、大韓民国、トルコ、米国の計5カ国が採用。ボーイングによると、E-7はE-3と比べて運用コストを66%削減でき、E-3よりも少ない人員でより多くの能力を提供できるとしている。
関連リンク
NATO
Boeing: E-7 AEW&C Airborne Early Warning & Control Aircraft
Boeing
ボーイング・ジャパン
NATO
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