ヤマトホールディングス(9064)と日本航空(JAL/JL、9201)、JALグループのLCC、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)が2024年4月11日から運航を予定しているエアバスA321ceo P2F貨物機(登録記号JA81YA)が11月20日、成田空港でJALのボーイング787-8型機(JA829J)、スプリングの737-800(JA05GR)と並んだ。ヤマトHDがリース導入したA321P2Fを、JALグループが運航する。
—記事の概要—
・10トン車5-6台分運ぶ
・ヤマト初の貨物機
10トン車5-6台分運ぶ
A321P2Fは、中古のA321ceo(従来型A321)旅客機を貨物専用機に改修したもので、10トントラック約5-6台分に相当する1機当たり28トンの貨物を搭載できる。ヤマトによると、737-800を改修した貨物機と比べ、A321P2Fは約20%多く貨物を搭載でき、客室から転用した上部貨物室にはAAYコンテナを14台、改修前からある床下貨物室にはAKH(LD3-45)コンテナを10台搭載できる。
航続距離は約2300キロから3000キロで、東京を起点にすると台湾や香港まで飛行できる。4月11日からは成田-札幌(新千歳)線、成田-北九州線、成田発那覇行き、那覇発北九州行きの1日9便でスタートし、夏ごろからは深夜早朝に羽田-札幌線、羽田-北九州線が加わり1日13便を運航する見通し。ヤマトHDは3機のA321P2Fをリース導入する計画で、全3機で1日21便を計画している。
運航体制は、ヤマトHD傘下のヤマト運輸が配送拠点と空港間の陸上輸送や、空港の貨物上屋での積み付けを担当。JALが空港の貨物上屋内での貨物計量やランプハンドリング、機体の整備を担い、スプリングが運航とオペレーションコントロール、ロードコントロールを担当する。また、JALとスプリングは貨物便をコードシェア(共同運航)を予定している。
ベースとなった機体はカタール航空(QTR/QR)のA321ceo。当紙の調べでは初号機(JA81YA)が元カタールのA7-AIA、2号機(JA82YA)はA7-AIC、3号機(JA83YA)はA7-AIDで、エアバスとSTエンジニアリング(シンガポール)の合弁会社、独エルベ・フルクツォイヴェルケ(EFW)社が残る2機の改修をシンガポールで進めている。エンジンはIAE製V2500を搭載しており、当初運航会社として予定していたジェットスター・ジャパン(JJP/GK)のA320と同じエンジンとなる。
ヤマト初の貨物機
11月20日からは、飛行訓練「プルービングフライト」を始める予定だったが、機体に整備作業が発生したことから延期となった。成田から北九州経由で関西へ向かい、成田へ戻る三角運航で、1回3区間で1日あたり2回、計6区間飛行する。成田でJALの787やスプリングの737と並んだのは、予定していた最初のプルービングフライトが延期となったためだった。
11月のフライトは、1便目が成田を午前7時45分に出発し、北九州へ午前9時50分着、2便目は北九州を午前10時25分に出発し、関西空港へ午前11時25分着、3便目は関空を正午に出発し、成田へ午後1時25分着、4便目は成田を午後2時30分に出発し、北九州へ午後4時35分着、5便目は北九州を午後5時10分に出発し、関空へ午後6時15分着、最後6便目は関空を午後6時50分に出発して、成田には午後8時15分に到着する。
また、4月11日の就航当初は、成田-札幌線を1日2往復4便(IJ403/406、IJ405/408)、成田-北九州線を1日3便(成田発IJ425、北九州発IJ422と426)、成田発那覇行きを1日1便(IJ451)、那覇発北九州行きを1日1便(IJ456)運航する。貨物機の場合、旅客機のような往復運航を必ずしも採らず、需要に応じたルートを飛ぶ。
ヤマトグループでは、EC市場の成長による貨物輸送量の拡大や、労働人口の減少や高齢化によるトラックドライバー不足、働き方改革関連法により2024年4月1日に施行される、自動車運転業務の時間外労働の上限規制(960時間)により、トラックを中心とした輸送力の減少懸念などから、トラックの陸送と貨物機の空輸を組み合わせた輸送ネットワークを構築する。
ヤマトが貨物機を導入するのは初めてで、国内の航空会社がA321P2Fを運航するのも初となり、LCCが貨物機を運航するのも初の取り組みになる。
関連リンク
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