エアライン, 解説・コラム — 2023年9月29日 15:42 JST

ANA、ルフトハンザ・ユナイテッド航空との貨物共同事業停止 事業再編で

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は、国際航空貨物の提携関係を見直す。日欧間でルフトハンザカーゴ(GEC/LH)、日米間はユナイテッド航空(UAL/UA)と結んでいる航空貨物の共同事業(JV)の契約を9月30日で停止する。ANAグループの貨物事業再編によるもので、契約停止による連結業績への影響は軽微だという。

ルフトハンザやユナイテッド航空との貨物共同事業の契約を停止するANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAとルフトハンザカーゴは、2014年9月3日に航空貨物のJVについて国土交通省から独占禁止法適用除外(ATI)認可を受けた。航空貨物のJVがATI認可を受けたのは世界初で、両社は日本-欧州間の貨物事業を一体的に運用してきた。

 ユナイテッド航空とのJVは、2015年4月8日に認可を取得。太平洋路線の貨物便が対象で、運航スケジュールや運賃、空港ハンドリングなどを共同で手掛けてきた。

 ANAは2014年4月に、同社の貨物事業を一体的に受け持つ事業会社ANA Cargo(ANAカーゴ)を設立。ANAの貨物事業室が担当していた企画やマーケティング、販売計画などを移管し、欧米の貨物便はJVにより拡充してきた。今年3月に日本貨物航空(NCA/KZ)の子会社化をANAHDが発表し、当初の予定では10月1日に実施予定だったが、国内外の関係当局による企業結合審査の完了までに要する時間などを勘案し、子会社化の予定日を2024年2月1日に延期している。

 NCAが欧米への貨物便を多く運航していることから、同社を傘下に収めることで従来はJVを活用していた欧米方面もANAグループによる運航便を強化し、貨物事業の収益性を高めていくとみられる。

 ANAカーゴは貨物専用機を11機運航。内訳は大型貨物機のボーイング777Fが2機、中型貨物機の767Fが9機で、2028年以降に次世代大型機777Xの貨物型777-8Fを2機受領する見通し。NCAは15機で、このうち大型貨物機の747-8Fを8機運航中。残り7機は747-400Fで、すべて他社へリースしている。

関連リンク
全日本空輸
ANAカーゴ
日本貨物航空

ANA、NCA子会社化延期 24年2月予定(23年9月26日)
NCA、自己株式をすべて消却 ANAが10月子会社化(23年8月27日)
ANAとユナイテッド航空、貨物共同事業 15年中に(15年4月8日)
ANA、ルフトハンザ・カーゴと世界初共同事業 冬ダイヤから(14年9月3日)
ANA、貨物事業会社ANAカーゴ営業開始へ 14年4月から(13年12月25日)