退役した日本航空(JAL/JL、9201)のボーイング777型機の部品を再利用したアップサイクル(作り替え)品を展示する巡回展が、東京・西麻布にあるカリモク家具(愛知・東浦町)のギャラリーで9月16日から始まった。10月7日までで、7組のデザイナーが考案した777の部品と木を組み合わせた16種類の作品が並ぶ。
—記事の概要—
・3機の777をアップサイクル
・「家具は日常生活の中にある」
3機の777をアップサイクル
JALグループは退役したボーイング777型機をリサイクルやアップサイクルし、廃棄物の削減を進めている。今回のイベント「Upcycling Airplanes JAL | Karimoku」では、今年6月に東京ビッグサイトで開催された「インテリア ライフスタイル 2023」と同様、777の部品を再利用し、デザイナーたちが木と組み合わた作品を考案した。
前回は金属製の点検ハッチに木製の脚を取り付けたサイドテーブルや、機体外側窓を座面に用いたスツールなど13点を出品。今回は商品を追加して展示している。展示ディレクターは建築家の芦沢啓治氏が務め、会場・グラフィックデザインをデザイナーのイトウケンジ氏が手掛けた。
退役機のアップサイクル品を企画したJALの加藤孝弥さんは整備士として6年間従事し、2021年11月から非航空系事業を担うマイレージ・ライフスタイル事業本部のライフ・コマース事業部に在籍。異動間もないころから航空機部品のアップサイクルを提案し、社内外の協力を得て6月のイベントが実現したことから、第2弾となる今回の巡回展に発展したという。
航空機部品のアップサイクルとなると、そのまま販売して欲しいというニーズがあり、JALも特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響後に扱ってきた。加藤さんは「部品をそのまま売るだけでなく、飛行機をより身近に感じていただけるもの、より生活になじんで、JALを身近に感じていただくきっかけになるプロダクトを作れればと企画しました」と、これまでJALとの接点が少なかった客層にもアプローチしていく。
カリモクにはJALから働きかけたという。「デザイナーさんが整備側の意図をくんでくださったのが良かったです。部品の凹凸のように、私たちがどちらかと言えば隠したいと思うものも、表に出してプロダクトとして成立させることは絶対に我々にはできないですね」(加藤さん)といい、今後は商品として販売する準備を進める。
今回使われた部品は、777の退役機のうち、リサイクルを視野に解体された777-300(登録記号JA8945)と2機の777-200(JA8978、JA772J)のもの。3機とも国内線を飛んでいた777だ。今後は解体によって出る部品だけでなく、ライフベストのように定期的な交換が発生するものも含め、商品化を考えていきたいという。
参加デザイナーは、芦沢氏とイトウ氏のほか、熊野亘氏、倉本仁氏、鈴野浩一氏、辰野しずか氏、寺田尚樹氏。
「家具は日常生活の中にある」
JALはコロナ影響後、非航空系事業を強化しているが、赤坂祐二社長は「あまり航空から離れてもうまくいかない」と、JALのマイレージ会員やJALカード会員からアプローチする手法をとっている。
今回のアップサイクル品について、大森康史マイレージ・ライフスタイル事業本部長は「コロナのようなことが起こると、急にお客さまとのつながりが途絶えてしまいますが、家具は日常生活の中にあるものなので、日々の生活の中でJALを感じていただけます」と、顧客との接点が急になくなってしまうことが、コロナでの気づきだったという。
カリモクとのコラボについて、大森氏は「カリモクさんの家具は非常に高品質で信頼感があり、JALの安全安心ともマッチするので、JALのお客さまとの親和性がすごくあるブランドだと思います」と、JALの顧客に訴求しやすい点もポイントになった。
イベント会場は東京・西麻布のKarimoku Commons Tokyo 1階ギャラリースペースで、正午から午後6時まで開き、入場無料で日曜定休。カリモク家具が主催し、JALとJALグループのJALUX(ジャルックス)、整備会社のJALエンジニアリング(JALEC)が協力している。住所は港区西麻布2-22-5、最寄り駅は東京メトロ表参道駅のA5番出口から徒歩10分。
*写真は12枚。
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