全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは9月5日、羽田空港のグランドスタッフ(地上旅客係員)の中から「おもてなしNo.1」を決めるコンテスト「Haneda’s Prideコンテスト」を開いた。12人の出場者の中から、国内線を担当する立原衣梨さん(旅客サービス4課)がグランプリに輝いた。
—記事の概要—
・接客中に慌てて話しかけてくる人も
・立原さん「一人でなし得ることができない仕事」
・小山田社長「旅客の仕事はチームワーク」
接客中に慌てて話しかけてくる人も
コンテストは2017年から毎年開かれ、今回で7回目。羽田の空港業務を担うANAエアポートサービス(ANAAS)が定めるグランドスタッフに求められる3つの基本行動「気持ちのいい挨拶をする」「常に笑顔でアイコンタクトをする」「美しい所作で魅了する」を体現できる係員を決めるとともに、羽田の係員全体の接遇スキル向上につなげる。
新型コロナの「5類」移行や、7月の第2ターミナル国際線施設再開など、旅客需要が急回復する中、今回は「Be The Best -羽田から、世界へ-」をテーマに掲げ、羽田で働く約1600人のグランドスタッフから選ばれた12人が出場。1課から6課まであるANAASの旅客サービス部から各課2人ずつ、国内線と国際線の担当者が出場し、日ごろのおもてなしのスキルを羽田空港近くの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」で披露した。
コンテストはロールプレイ形式で、利用者役の社員が登場。久しぶりに国際線を利用するため、ロンドン線が第2ターミナルに移ったことを知らずに第3ターミナルに来てしまった人、空港に着くのが遅れてしまい、搭乗便に乗れなかった人、足が不自由な人など、出場者ごとに異なるシナリオが用意され、1人あたり8分の持ち時間で応対した。
利用者役の社員は1人あたり3組登場。出場者が応対中に、慌てた様子でいきなり話しかけてくるなど、日々の業務で起こりうる要素を織り込み、対応力が審査された。審査員は、ANAASの小山田亜希子社長、取締役の田中秀樹氏に加え、社外審査員にサンヨーエアポートサービスの吉田直ー社長が招かれ、12人の奮闘により、審査は難航した様子だった。
コンテストの様子は、羽田や新千歳、那覇など各空港にもライブ中継された。
立原さん「一人でなし得ることができない仕事」
今回グランプリを獲得した立原さんは、2017年度入社。出場者12人の審査は6人ずつ行われ、後半のトップバッターだった。
応対した利用者役は、若いころは野球をやっていたという、少し足の具合が悪くつえを持った65歳の男性、子供が生まれて初めて旅行するという赤ちゃんを含む3人家族、国内線に搭乗するまで4時間あり、品川駅へ買い物に行きたいという女性客だった。
「若いころは大谷ばりに野球やってたんだ」と身振りやジョークを交え、楽しげに話す男性客は、孫がスマートフォンにANAのアプリをインストールし、手続きをしてくれたものの、使い方がよくわからない様子だった。立原さんは、アプリを使えばカウンターに並ばずに手続きできるなど、一緒に画面を確認しながら案内した。
赤ちゃん連れの家族客を応対した際は、夫が上級会員「ダイヤモンド」のステータスを持ち、妻は「スーパーフライヤーズ(SFC)」会員だったことから、上級会員向けラウンジ「ANAスイートラウンジ」の利用法などを説明した。
品川駅に買い物に行きたいという女性客には、手荷物は預け入れが可能であることと、出発時刻の20分前が保安検査の締切時刻であることなどを案内していた。
表彰式でのあいさつで「普段から緊張しいで、人前に立つのも苦手」という立原さんは、「仲間からたくさんの温かい応援をいただき、恵まれた環境で成長し続けられることに感謝しています。決して一人ではなし得ることができないお仕事なので、感謝の気持ちを申し上げたいです」と、涙を浮かべながら謝意を述べた。
小山田社長「旅客の仕事はチームワーク」
表彰式で小山田社長は「コンテストの審査員は3年目だが、採点は毎回難しい。嗜好(しこう)の問題で、どういう接客が好きかというのもあり、本当は接客は競うものではないのかもしれないが、より多くの人に見てもらい、伝承していってほしい」とあいさつ。グランプリに輝いた立原さんに、表彰状とクリスタル製トロフィーを贈った。
小山田社長は「立原さんの審査シートには、お客様に合わせて会話を楽しんでご案内している、心からの笑顔、安定した知識、パーフェクトと書いた。本当にすばらしかった」と選考理由を明かした。
「毎回たくさんの感動をいただいている。なぜコンテストで感動するのだろう、と考えると、出場者の一生懸命さ、仕事に向かう姿勢に感動するのだと思った。やはり一人ではなく、仲間のおかげだ。旅客の仕事はチームワークで、ファイナリストの力になっていると思う。これからも後進に伝承していって欲しい」と、緊張の中で審査に挑んだ出場者たちに言葉をかけた。
また、準グランプリには旅客サービス1課 国際担当の今井はるかさんと、旅客サービス6課 国内担当の佐久間琴美さんが選ばれ、審査員特別賞を旅客サービス5課 国際担当の大山智子(のりこ)さんが受賞した。
グランプリの立原さんは、国内外のANAのグランドスタッフが接客技術を競う「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」に羽田代表として出場することが決まった。
*写真は14枚(出場者12人の氏名は写真後ろに掲載)。
出場者(敬称略で出場順、括弧内は所属課と担当、入社年度)
服部彩貴(2課国内、16年度)
安部優希(2課国際、19年度)
温井鈴夏(5課国内、15年度)
大山智子(5課国際、16年度)審査員特別賞
百瀬英里(1課国内、16年度)
今井はるか(1課国際、17年度)準グランプリ
立原衣梨(4課国内、17年度)グランプリ
中井雅仁(4課国際、19年度)
江本笑美(3課国内、15年度)
小峯早織(3課国際、16年度)
佐久間琴美(6課国内、17年度)準グランプリ
中村早希(6課国際、18年度)
関連リンク
全日本空輸
ANAエアポートサービス
Haneda’s Prideコンテスト
・ANA、羽田の接客No.1に4課国際線阿部さん 第6回Haneda’s Prideコンテスト(22年9月7日)
・ANA、羽田接客No.1に城谷さん2連覇 ”半沢直樹”も登場、第4回Haneda’s Prideコンテスト(20年10月21日)
・ANA、羽田の地上係員No.1に国際線城谷さん Haneda’s Prideコンテスト2019(19年7月5日)
・ANA、羽田の接客No.1に国内線寒川さん 第1回Haneda’s Prideコンテスト(17年9月28日)
空港接客コンテスト
・ANAの空港接客コンテスト、成田の野原さん優勝 3年ぶり対面開催(22年12月8日)
・ANAの空港接客コンテスト、ハノイのリンさん優勝 海外勢2連覇(19年11月2日)
・ANAの空港接客コンテスト、初の海外空港優勝 北京の斉さん(18年11月29日)
・ANAの空港接客コンテスト、神戸の中村さん優勝 第10回大会、海外空港も参加(17年12月6日)
・ANAの空港接客コンテスト、成田の高野さん優勝 第9回大会、車いすや高齢者対応重視(16年12月8日)
・ANAの空港接客コンテスト、妊娠中の羽田・長田さん優勝(16年1月14日)
・羽田が首位奪還 ANA、空港係員スキルコンテスト(14年12月5日)
・入社1年目の関空・西海さんが優勝 ANAの空港係員コンテスト(13年12月6日)
・ANAのグランドスタッフコンテスト、羽田が2連覇(13年3月13日)
・全日空GSスキルコンテスト、羽田スタッフが初グランプリ(12年3月9日)