エアライン — 2023年8月25日 13:35 JST

航空連合、空の仕事の魅力発信サイト「だから、この仕事が好き」

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 国内の航空業界で最大の産業別労働組合である航空連合(JFAIU)は8月24日、航空に関する仕事の魅力などを発信する特設ページ「だから、この仕事が好き」を公開した。

航空に関する仕事の魅力などを発信する特設ページ「だから、この仕事が好き」を発表する航空連合の皆川知果副事務局長(右)と内藤晃会長=23年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

航空に関する仕事の魅力などを発信する特設ページ「だから、この仕事が好き」を発表する航空連合の内藤晃会長=23年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 航空業界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、人手不足の状況が現在も続いている。一方、コロナ前の2019年の時点でも空港のグランドハンドリング(地上支援)などの現場では、人手不足が問題化していた。航空連合では、現在の人手不足だけでなく、将来的な航空産業の担い手が増えるよう、就活生だけでなく子供たちも対象にしたコンテンツを制作した。

 航空連合の内藤晃会長は「学生向けの航空教室などでも、空の仕事というと、パイロットや客室乗務員と答える方が多い。空港の仕事であるグランドスタッフ(地上旅客係員)や整備、貨物、グラハン、ケータリングといった仕事も知って欲しい」と、背景を説明した。

 特にグラハンは「働き方が30年以上変わっていないと言われており、自動化が難しい領域で、世界的にも似たような状況だ。日本は投資余力が乏しく、コロナで経験者が多く離職してしまった」(内藤氏)と、特に地方空港などで若年層の担い手確保が難しい状況が続いている。

航空連合の特設ページ「だから、この仕事が好き」

 「訪日客数が年間3188万人だった2019年でも、当時想定していた2022年の4000万人に対応できるのか、という声が現場では上がっていた」といい、コロナでグラハンや保安検査の係員不足が深刻化した。

 開設した特設ページの対象は、高校生や大学生、20-30代で航空業界を目指す人、転職者、子供たち。サイトのレイアウトも、スマートフォンでの閲覧を重視し、タテスクロールによる操作を前提としている。皆川知果副事務局長は「現在働いている人を調べると、航空業界に興味を持った時期は未就学の時期という人が多かった」といい、労働組合ならではの生の声も含めて、学生や子供たちに発信していきたいという。

 コンテンツは現場で働く人たち340人へのアンケート結果や、漫画家・うえはらけいた氏の「飛ばない空のお仕事マンガ」、空港のお仕事占い、空の仕事図鑑などとなっている。

 一方で、航空業界はコロナに限らず、過去にも2001年9月に起きた米国同時多発テロ、2003年に中国で起きたSARS(重症急性呼吸器症候群)など、イベントリスクが数年おきに発生。就活生からは、コロナによる打撃だけではなく、航空業界がイベントリスクの影響を受けやすい点を心配する声も聞かれる。

 内藤会長は「育成に時間がかかるパイロットは、コロナでも採用してきた。客室乗務員やグランドスタッフなどほかの職種も、安定した生産体制を構築してほしい。カツカツの人数ではなく、余裕をもった体制を求めている」と、経営側に要望しているという。

 「航空輸送だけに過度に頼らない事業構造で、少しでもイベントリスクに対応してほしいが、言うは易く行うは難しなところもある」(内藤会長)として、業界全体で対応していくためにも、これからの担い手になる子供たちへの情報発信の強化は不可欠だと強調した。

 また、建設業など他業種と比べた賃金の実態なども、改善を引き続き要望していくという。

関連リンク
だから、この仕事が好き(航空連合)
だから、この仕事を選びました(アンケート結果)

国交省、グラハン・保安検査の契約適正化提言 人手不足解消へ中間とりまとめ(23年8月14日)