6月に開催された世界最大規模の国際航空宇宙見本市、第54回パリ航空ショー。エアバスは、カタール航空(QTR/QR)のA350-1000型機(登録記号A7-ANT)などを地上展示した。ドーハ-成田線にも投入している機材だ。
カタール航空のA350-1000は、2018年2月20日に初号機が引き渡された。座席数は2クラス327席(ビジネス46席、エコノミー281席)で、A350-900(2クラス283席:ビジネス36席、エコノミー247席)より44席多い。ビジネスは1-2-1席配列で、ダブルベッドにもなる「Qsuite(Qスイート)」を採用しており、エコノミーは3-3-3席配列となっている。
Qスイートは、世界初のドア付き個室型ビジネスクラス。現在主流となりつつある個室タイプのビジネスクラスの先駆者と言えるもので、2017年6月にボーイング777-300ER型機の新シートとして登場し、A350にも採用された。
中央席は前後向かい合わせになっており、パーティションを開ければ4人で食事を楽しむこともできる。前後のシートが互い違いになっていることから、奇数列のE-F席はダブルベッドにもなるレイアウトだ。窓側席も前向き(偶数列)と後ろ向き(奇数列)の席を背中合わせで並べており、窓側席と中央席ともに後ろ向きになる席を設けることで、広さと座席数を両立している。
カタール航空はA350のローンチカスタマーだが、外観塗装が劣化したとして、注残となっていた長胴型のA350-1000を2022年8月に全機キャンセル。標準型のA350-900は34機が完納となっていたが、A350-1000は19機で引き渡しがストップしていた。その後、今年2月にA350-1000の発注が23機復活し、6月末時点で22機が引き渡され、20機が受領待ちとなっている。
同社は奇数年開催のパリ、偶数年にロンドン近郊で開かれるファンボロー航空ショーと、世界二大航空ショーの常連で、A350-1000出展はエアバスとの関係改善を表していたとも言えそうだ。
*写真は15枚。
*第3回737-10試験機はこちら。
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