全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループと川崎重工業(7012)は7月20日は、通常は流通しないボーイング787型機のエンジンブレード廃材や、航空機の製造過程で生じる端材や余剰材を活用したアップサイクル商品を開発したと発表した。ANAグループのECサイト「ANA Mall(ANAモール)」で20日から先着順で販売を始めた。両社によると、好評であれば今後も新商品を開発していきたいという。
*販売商品が一部変更になったとANAから連絡がありました。このため本記事も一部記述を変更いたします。(23年7月24日 16:56 JST)
販売する商品と税込価格は、「B737 エンジンブレードキーホルダー」が9900円、「B767 パスケース」が1万1000円、「B767/777 名刺入れ」が1万5400円、「B767 タブレットスタンド」が8800円。このほかに送料がかかる。
エンジンブレードキーホルダーは、737のエンジンCFM製CFM56のブレードを使い、基準に基づいて廃棄されたエンジンブレードを加工し、使用時間などを明記した情報カードを付ける。
また、当初販売を予定していた「B787 エンジンブレードオブジェ」(4万6200円)は発売中止が決定。787のロールス・ロイス(RR)製エンジン「トレント1000」のブレードを使用して商品化する予定だった。ANAによると、廃材品の関係企業の許可が得られていないことが判明したため、発売を中止したという。20日正午から21日午前11時30分に受付を中止するまでに22個の申し込みがあった。9月に発送を予定していたため、申し込んだ人の支払い手続き前だった。購入希望者には個別に連絡し、謝罪しているという。
パスケースは、川重が製造する767の端材や余剰材を活用したもので、名刺入れは767と777両機種の製造過程で生じた端材や余剰材を使った。名刺入れは可動式のふたがついており、コックピットにあるランディングギア操作レバーをイメージしたという。
企画したANA整備センター 部品事業室サプライチェーンマネジメント部の碇浩司さんは「世界の航空機の安全を支える産業が、日本にあることがなかなか知られていない」と述べ、「(今回扱う)製品の表面がすごくフラットにできており、高い技術がないとできない。航空機の実機はなかなか触れられないので、こうした産業を知っていただき応援して欲しい」と話していた。
川重の航空宇宙システムカンパニー 民間航空機事業管理部の宮澤康弘さんによると、社内で複数のエンジニアがアイデアを出し合ってできた。「川重では一般消費者向け商品はレアなケース。パスケースはカードを入れた時の感じなどにこだわった」という。
両社によると、航空機の素材は特許や企業秘密が多いため、商品を考えても実現が難しいものや、採用を断念した素材もあったという。今回は川重の協力会社のうち、中部地区にある天龍エアロコンポーネントとナベヤ製作所が製造に携わった。
販売はANAモール内でANAウイングフェローズ・ヴイ王子が運営する「ANAワクワクショップ」で、発送開始は9月上旬。初回販売後、追加販売や新たな商品開発も考えているという。
関連リンク
ANAワクワクショップ
全日本空輸
川崎重工業
天龍エアロコンポーネント
ナベヤ製作所
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