7月12日午前9時35分ごろ、日本航空(JAL/JL、9201)の羽田発函館行きJL585便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA614J)が函館空港へ着陸しようとした際、視界不良で着陸を2回やり直した後に新千歳空港へ向かったが、着陸時に残すべき予備燃料が社内規定量を下回る可能性があったため、管制官に対して優先着陸を求めた。監督する国土交通省航空局(JCAB)は13日、航空事故につながりかねない「重大インシデント」に認定した。
JCABによると、航空法施行規則第166条の4第13号「緊急の措置を講ずる必要が生じた燃料の欠乏」に該当することが、重大インシデントと判断した理由だという。航空法には、予備燃料の残量について具体的な数値は示されていないが、JALは国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)が定める「30分間飛行可能な量」を、社内規定として取り入れているという。
JL585便は乗客249人(幼児3人含む)と乗員9人(パイロット3人、客室乗務員6人)を乗せ、羽田を12日午前7時43分に出発。函館と悪天候時などの代替空港である新千歳の天候などを確認し、安全に着陸できる法定燃料を満たした飛行計画により、函館へ向かった。
函館には午前8時55分に到着予定だったが、視界不良により午前9時ごろに1回目のゴーアラウンド(着陸復行)を実施。同19分には、2回目のゴーアラウンドを行ったことから、目的地を新千歳空港へ変更した。
新千歳へ着陸時に残す予備燃料が、社内規定で示している30分間飛行可能な量を下回る可能性があり、午前9時35分ごろ管制官に優先的な取り扱いを求め、新千歳へ同49分に着陸した。
着陸後に予備燃料の量を調べたところ、社内規定で定める30分間飛行可能な量「4200ポンド」を下回る3400ポンドだった。3400ポンドでは25分間飛行できるが、社内規定よりも5分間分の燃料が不足した状態だった。
JL585便は新千歳で燃料を搭載後、午前11時2分に出発し、同41分に函館へ到着した。
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