全日本空輸(ANA/NH)などを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は7月8日、テレビアニメ「鬼滅の刃」のキャラクターを機体や客室に描いた特別デカール機「鬼滅の刃 ぷろっぷ」の初号機(DHC-8-Q400、登録記号JA846A)を、那覇空港の格納庫で報道関係者に公開した。「ぷろっぷ」はANAの整備士が発案して実現したもので、月内に全3機がそろう予定。8日にデカールを貼り終えた初号機は、14日に就航する見通し。
—記事の概要—
・全席に鬼滅デカール
・地方路線でも楽しんで欲しい
全席に鬼滅デカール
「ぷろっぷ」は、機体の左前方ドア付近にキャラクターの竈門炭治郎、右側に竈門禰豆子のデカールを貼付。74席ある客室のシートには、9種類用意したデカールのいずれかをシートテーブルに、最前列席は壁に貼り付けた。デカールの貼付作業は、ANAHDなどが出資する整備会社MRO Japan(MROジャパン)の那覇空港にある格納庫で行われている。
ANAグループは、鬼滅の刃とのタイアップを2021年12月にスタート。最初の特別デザイン機「鬼滅の刃じぇっと -壱-」(ボーイング767-300ER型機、JA616A)が2022年1月31日、2号機「鬼滅の刃じぇっと -弐-」(767-300ER、JA608A)が同年3月26日、3号機の「鬼滅の刃じぇっと -参-」(777-200ER、JA745A)が同年10月3日に就航したが、ターボプロップ(プロペラ)機は今回の「ぷろっぷ」が初めて。
「ぷろっぷ」は、ANAグループで地方路線を担うANAウイングス(AKX/EH)が運航。初便は、伊丹を14日午後3時10分に出発する福岡行きNH1153便を予定している。月内に初号機を含め3機(JA844A、JA846A、JA850A)がそろう予定で、運航便は固定しない。
7月25日からは、テーブルに貼っているステッカーを希望者にプレゼント。ステッカーで起動するAR(拡張現実)を活用したフォトフレームも用意する。
地方路線でも楽しんで欲しい
鬼滅の刃をデザインした機体は、当初ジェット機3機で完結する予定だったが、ANA整備センター 機体事業室ライン整備部の整備士、竹中祐梨菜さんが「ぷろっぷ」の企画を1年ほど前に立ち上げ、デカールのデザインもプロジェクトチームのメンバーと一緒に考えた。
竹中さんは「鬼滅の刃じぇっとを地方で見る機会は少ないので、地方路線で楽しんでいただけたらいいな、と発案しました」と話す。しかし、すべての座席にデカールを貼った機体はANAではこれまでなかったため、「本当にできるの? という周囲の反応を乗り越えて全席にデカールを貼りました」(竹中さん)と振り返った。
「今後はもっと大きなデカールにも挑戦したいですね」と、今回の経験を生かしたデカール機を将来実現させたいという。
DHC-8-Q400は、ボンバルディア時代に「Q400」として親しまれてきた機体。カナダのロングビュー・アビエーション・キャピタル傘下のデ・ハビランド・カナダ(DHC)が、同じくカナダのボンバルディアからQ400を含むDHC-8のプログラムを取得。2019年に「Dash-8」として再スタートさせた。
*写真は15枚。
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