日本航空(JAL/JL、9201)は6月23日、第74期株主総会を東京・有明の東京ガーデンシアターで開催し、配当(剰余金の処分)、取締役と監査役選任の3議案をすべて可決して閉会した。
—記事の概要—
・カーボンニュートラルと人材確保
・新運賃と新ステータス説明
・673人来場
カーボンニュートラルと人材確保
総会で議長を務めた赤坂祐二社長は、足もとで国際線旅客は新型コロナ前の約65%、国内線は約95%まで回復していることや、コロナ影響下でも導入を継続したエアバスA350-900型機によりCO2(二酸化炭素)排出量を既存機の4分の1に削減できていることなどを株主に説明した。
今後の経営課題として、赤坂社長は「大きく2つあり、一つは航空輸送のカーボンニュートラル、もう一つは人口減少社会の中で人材確保だ」と述べ、2050年までのCO2排出量実質ゼロ実現、人材確保については「自動化やマルチスキル化で生産性向上を図る。多様な人材活躍や教育方針により個人のスキル、組織力を向上し、ひとり一人の成長を促すことで価値想像力、創造性を高めていく」と述べた。
また、安全運航の重要性も強調するとともに、「JALグループの総力を結集し、人、モノのつながりを創造する航空以外の事業領域を拡大し、新たな収益源にしていく」(赤坂社長)と今後の方針を示した。
新運賃と新ステータス説明
今回の質疑では、株主から事前に募った質問の中で、多くの株主が関心を持つであろうと会社側が考えた2問について、最初に回答。今年4月にリニューアルした国内線運賃と、2024年に刷新する同社のマイル制度「JALマイレージバンク(JMB)」の会員ステータスを取り上げた。
国内線運賃のうち、国内線ファーストクラスの株主割引について、ソリューション営業本部長の越智健一郎常務は「販売座席数に上限を設けており、需給に応じてコントロールしている。全体よりも高い搭乗率になっており、ご不便をおかけし申し訳ない。少しでも多くの方にご利用いただけるよう、適切な座席コントロールを工夫していきたい」と述べた。JALの発表によると、国内線ファーストの搭乗率は国内線全体を上回る80%超えで推移している。
また、特典航空券の予約変更ができなくなった点について、越智氏は「空席があれば追加マイルで利用できる『特典航空券PLUS』を4月から導入したことで、便ごとに、時々で必要マイル数が変化するため、空席待ちや予約変更を承れなくなった」と理解を求めた。
JMBの新ステータスプログラムについて、マイレージ・ライフスタイル事業本部長の大森康史執行役員は「現行プログラムは継続した上で、新プログラムは物販や金融、ライフサービスなど、航空以外のさまざまなサービスの利用に対してもステータスポイントを積算する。新プログラム開始後は、頻繁にご搭乗いただいているお客様にはさらなる特典サービスを用意し、あまり搭乗機会が多くなく、これまではステータスを得られなかったお客様にも、航空に限らず、さまざまなJALグループのサービスを継続的にご利用いただくことで、ステータスランクを目指していただけるようになる」と説明し、詳細は今秋発表するとした。
673人来場
会場を訪れた株主は673人で、昨年よりも143人増加。所要時間は昨年よりも7分長い2時間ちょうどで、質問者は昨年から1人増えて13人だった。退場者は3年連続でいなかった。事前に国内線運賃に関する回答を用意したものの、会場からは「国内線運賃がわかりにくい」との質問が出ていた。
質疑応答後の議案採決では、剰余金の処分、取締役9人と監査役1人を選任する3つの議案が原案通り可決した。このうち新任は、取締役がカスタマー・エクスペリエンス本部長とブランドコミュニケーション担当を務める鳥取三津子専務と、経営企画本部長とグループCFO(最高財務責任者)を務める斎藤祐二専務、社外取締役が三屋裕子氏、監査役が財務・経理本部長などを歴任した前専務の菊山英樹氏の4氏。取締役選任などについて3件の修正動議が出たが、原案通りの可決により、すべて否決された。
関連リンク
国内線新運賃のご案内(JAL)
国内線特典航空券のご紹介(JAL)
日本航空
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