全日本空輸(ANA/NH)グループは6月21日、ボーイング767型機の就航40周年を迎えた。記念日となった21日は、40年前と同じ羽田-松山線で記念フライトを運航し、通常は787で運航する同路線に767を“再投入”。767の現役機長や歴代制服の客室乗務員らがイベントに登場し、40周年に華を添えた。
—記事の概要—
・767機長「鍛えてくれる機体」
・成田では遊覧飛行と撮影ツアー
・29年間で97機導入
767機長「鍛えてくれる機体」
記念フライトの対象便となったのは、正午に羽田を出発する松山行きNH589便。同便が出発した羽田空港第2ターミナルの58番搭乗口付近では、767の機長や就航当時の7代目から現在の10代目まで、歴代制服を着用した客室乗務員4人との撮影スペースを設置した。乗客には記念のストラップとステッカーをプレゼントした。
同便の出発前に、767の中里恭洋機長があいさつした。中里機長は767の就航年と同じ1983年生まれ。2011年に副操縦士となり、777のパイロット経験後、2022年に767の機長に昇格した。中里機長は767について「自分の操縦がダイレクトに伝わる飛行機らしい飛行機。自分を鍛えてくれる機体」と表現し、愛着のある姿勢を見せた。
羽田-松山線には通常、787で運航しているが、記念日となった21日のみ767を“再投入”した。羽田発松山行きNH589便に投入したのは国内線仕様の767-300ER(登録記号JA615A)で、224人(うち幼児3人)が利用し、パイロット2人、客室乗務員6人の計8人で運航した。同便は羽田空港58番駐機場を午前11時59分に出発し、ANAグループの社員が横断幕で見送った。
ANAの767は40年前の1983年6月21日に就航。767-200を羽田-松山線と伊丹-松山線に投入した。現行塗装「トリトンブルー」が最初に施されたのが767だった。
成田では遊覧飛行と撮影ツアー
ANAグループは767の就航40周年企画を進めており、6月21日の記念フライトも企画の一環として運航した。今後は成田空港での遊覧フライトと撮影ツアーも予定する。
成田空港を発着する遊覧フライトは6月24日に実施する。当日は正午ごろに成田を出発し、午後2時30分ごろに成田へ戻る。遊覧フライトには国際線仕様の767-300ERを投入する。
成田の格納庫での撮影ツアーは7月1日と2日の2日間で、両日とも午前と午後に開催する。撮影時間はいずれも75分を予定する。
遊覧フライトとツアーの参加者にはフライトタグやステッカー、40年の歴史をまとめたフォトブックを記念品としてプレゼントする。
29年間で97機導入
ANAは1983年4月に、767-200の同社向け初号機(JA8479)を受領。最終号機(767-300ER、JA627A)を受領した2012年3月までの29年間で97機を導入した。内訳は旅客機の767-200が25機、767-300が34機、767-300ERが33機で、貨物機の767-300Fは5機受領した。
現在保有しているのは旅客機は767-300ERのみで、国内線仕様機(2クラス270席:プレミアムクラス10席、普通席260席)が9機、国際線仕様機(2クラス202席:ビジネス35席、エコノミー167席)は6機。国内線は羽田発着の広島や熊本、秋田などに投入し、国際線は中国路線を中心に運航している。
中型貨物機の767Fは9機で、このうち4機が新造機の767-300F。残り5機はANAが旅客機として運航していた767-300ERを貨物機に転用した767-300BCF(ボーイング・コンバーテッド・フレーター)となる。貨物機はANAグループの貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)が運航する。
保有していた4機種の767のうち、767-200は2004年3月まで、767-300は2020年8月まで、それぞれ運航した。ANAによると、767の全退役の時期は現時点で未定だという。
関連リンク
全日本空輸
ANA ボーイング767就航40周年記念サイト
ボーイング767型機就航 40周年記念イベントin成田(ANA)
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