エアライン — 2023年6月13日 15:02 JST

JAL男性社員、育休取得でどう変化したか 「無意識の偏見」社内啓発で多様性考える

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 日本航空(JAL/JL、9201)は6月13日、性別や年齢、国籍、人種、障がいの有無などダイバーシティ(多様性)を啓発する社内イベント「JALグループ Diversity Day」を東京・天王洲のJAL本社で開催した。育児休暇を取得した男性社員2人の体験談や、短編映画鑑賞を通しLGBTについて考えるなど、午前と午後の二部構成でダイバーシティの理解を深める。

JALが開催した多様性を啓発する社内イベント「JALグループ Diversity Day」=23年6月13日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
テーマは「アンコンシャス・バイアス」
育休取得「メリットはるかに大きい」
「男性の育休当たり前に」

テーマは「アンコンシャス・バイアス」

 今回のイベントを開催したJAL人財本部人財戦略部DEI推進グループ アシスタントマネジャーの島大貴さんは、「自分の中の無意識の偏見『アンコンシャス・バイアス』に気付こう、というのをテーマとした」と説明。「これまでは男性が育休を取得することはない、という無意識の偏見があり、取得したとしても1カ月程度、という先入観がある」と具体例を挙げた。

 島さんは女性の育休取得について、体調などを加味して1年取得する事例を示し、「男性も1年取得してもいい。ここにアンコンシャス・バイアスがあると思っている」とした。

 6月は性の多様性を祝福する「PRIDE月間」で、23日から29日までは内閣府が定める「男女共同参画週間」であることから、今回のイベントを企画。初回は2019年だったが、コロナにより中断したため4年ぶり2回目の開催となった。島さんによると、今後は毎年開催していきたいという。

育休取得「メリットはるかに大きい」

JALが開催した多様性を啓発する社内イベント「JALグループ Diversity Day」で育休取得のトークイベントでファシリテーターを務める東レ経営研究所の塚越さん(左)=23年6月13日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 育休を取得した男性社員は、JALグループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)羽田航空機整備センター機体点検整備部 構造塗装技術室に所属する長橋智也さん(43)と、JALのIT運営企画部 運営グループに所属する三村優樹さん(31)。長橋さんは2020年6月から5カ月間、三村さんは2022年7月から8カ月間、それぞれ育休を取得した。トークショーのファシリテーターは、東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 チーフコンサルタントの塚越学さんが務めた。

 3人目の子供のために育休を初取得した長橋さんは、育休取得のメリットとデメリットについて、これまでは数時間後に出勤しなければならないのに夜泣きがあったためイライラしていたが、「育休は家の生活が基本。『ゆっくり寝ればいいじゃないか』と思えるようになり、余裕が生まれた」と振り返った。収入が減ることがデメリットとしたものの、「デメリットよりもメリットのほうがはるかに大きい」と話した。

 長橋さんは育休当初、家事を「自分の仕事じゃない、と思えることもあった」という。育休中は料理などの家事に積極的に取り組んだ結果、「妻には悪いことをした、と思っている」ようだ。

 三村さんは1人目の子供のために取得。育休中は家事もこなしていた三村さんは、育休後も「帰宅してからスムーズに家事に入っていける。妻のペースを崩さずに連携しやすい」とメリットを強調。「メリットがあるから取得する、と思ったことはない。育てるのは親の責任」とした。

多様性を啓発する社内イベント「JALグループ Diversity Day」で育休取得の体験談を披露するJALECの長橋さん(中央)とJALの三村さん(右)=23年6月13日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「男性の育休当たり前に」

 3人目で初取得した長橋さんは、育休を周りの同僚が取得していないことから「以前は考えておらず、自分の中で理解が足りていなかった」と振り返った。上司に取得を申請したところ「1カ月?」と言われ、「いや、5カ月……」と言うのが後ろめたかったという。

 三村さんは育休前、経済同友会に出向していた。出向期間は当初2022年3月までだったが、育休取得を早めに申請したところ、会社は出向期間の延長を判断。帰任とともに育休に入った。三村さんは「出向先に人員を途切れさせずに済んだ。早めに申請するのが大切」と振り返った。

 ファシリテーターを務めた塚越さんも3児の父親で、産前と産後合わせて6回の育休を取得した。塚越さんは内閣府の男女共同参画推進連携会議で有識者委員も務め、2022年10月の育児・介護休業法改正にも関わっている。塚越さんは以前は女性が出産後に退職する流れが一般的だったとした上で「現在は出産後に育休を取得するのが当たり前。われわれの世代で男性の育休を当たり前にしていきたい」と抱負を述べた。

  ◇

 2回目となった「JALグループ Diversity Day」には、午前の部が会場30人とオンラインで60人の計90人、午後は映画とワークショップを合わせ120人が集まり、200人以上が参加する。

 午後はLGBTQ関連の短編映画『カランコエの花』を鑑賞後、LGBT研修を手掛けるアウトジャパン(東京・新宿)の屋成和昭代表らを招き、LGBT当事者の実情や、アンコンシャス・バイアスなどについてのトークライブを開く。

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日本航空
D&I推進(JAL)

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